2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20013018
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤本 豊士 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 教授 (50115929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 秋一 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (60282232)
大崎 雄樹 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (00378027)
鈴木 倫毅 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (80456649)
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Keywords | イノシトール燐脂質 / カベオラ / コーテッドピット / カルシウム / アクチン |
Research Abstract |
膜脂質の正確な局在をナノメートルレベルで決定することは膜生物学だけでなく,細胞増殖,細胞運動など種々の現象を分子レベルで理解するために重要である。しかし,通常の化学固定剤は脂質に作用せず,また様々な刺激が局在変化を惹起する可能性があるため,膜脂質に関する理解は進んで来なかった。我々は今回の研究により急速凍結と凍結割断レプリカ標識法を組み合わせることにより,膜脂質を物理的に固定し,局在を決定する方法を開発した。その方法を用いて,細胞骨格,小胞輸送などの制御に重要な役割を果たすフォスファチジルイノシトール4,5二燐酸(PIP2)の挙動を明らかにした。PIP2は線維芽細胞の平坦な膜領域ではごく弱いクラスターを形成するのみであったが,カベオラ開口部,コーテッドピット辺縁部には高度な集中を示した。Angiotensin II刺激後,平坦な膜領域では10秒でPIP2標識密度は最低レベルに低下し,2分までに徐々に回復した。カベオラのPIP2は10秒では変化せず,40秒で最も低下し,2分で静止期レベルに回復した。コーテッドピットは10秒でやや減少したが,その程度は平坦な膜領域に比較してごく軽度であった。PIP2の集合は,カベオラではカベオリンに,コーテッドピットではepsin, dynaminなどのエンドサイトーシス関連蛋白質に結合することによって生じると考えられる。今回の結果は,3つの異なる挙動を示すPIP2のプールが形質膜に存在することを明確に示した。本研究で開発した方法は高い空間解像度を持ち,任意の細胞に応用することができる。動物体内の細胞など,多くの実験系への応用が考えられ、癌細胞の挙動解析にも重要なツールとなる。
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[Journal Article] A distinct pool of phosphatidyl- inositol 4,5-bisphosphate in caveolae revealed by a nanoscale labeling technique2009
Author(s)
Fujita, A., Cheng, J., Tauchi-Sato, K., Takenawa, T, Fujimoto, T.
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Journal Title
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 106
Pages: 9256-9261
Peer Reviewed
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