2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20013025
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三木 裕明 Osaka University, 蛋白質研究所, 教授 (80302602)
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Keywords | Wnt / Dishevelled(Dvl) / Nucleoredoxin(NRX) / がん |
Research Abstract |
本研究は、細胞がん化に重要なWntシグナルの伝達因子Dishevelled(Dvl)に結合する新規因子として見つけたnucleoredoxin(NRX)の機能、またがん化への関与について調べることを目的としている。NRXノックアウトマウスは骨形成や心臓形成に異常を示すので、マウス個体でさまざまな分化マーカー遺伝子の発現を検討したが、現在までのところ明確な違いを示す結果は得られていない。ただNRXノックアウト個体の組織や、胎児から樹立した繊維芽細胞(MEF)においてDvlのタンパク質量が劇的に減少していることを見つけた。このことはNRXがDvlの機能抑制だけでなく安定化にも寄与しており、NRXノックアウトが必ずしもWntシグナルの活性化を意味しない可能性を示唆している。がん抑制に働くp53とのダブルヘテロマウスの作製、経過観察もスタートしている。 一方、NRXの類縁分子ファミリーであるRdCVFやCgorf121に共通して結合するタンパク質としてFlightless-Iを見いだした。ThioredoxinなどNRX同様のレドックス応答性モチーフをもつ他のタンパク質では結合が起こらず、NRXファミリーに特異的な結合パートナーとして興味深い。さらにNRXの結合タンパク質探索からがん転移に重要なチロシンホスファターゼが見つかってきた。PTP-1BやPTENなど、多くのチロシンホスファターゼは活性中心がレドックス制御を受けていることが知られており、NRXがそれを調節している可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)