2008 Fiscal Year Annual Research Report
二つのロイコトリエンB4受容体を介した細胞増殖と転移制御
Project/Area Number |
20013033
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
横溝 岳彦 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 教授 (60302840)
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Keywords | 生理活性脂質 / ロイコトリエンB4 / 細胞障害性T細胞 |
Research Abstract |
(1) 膵臓がんにおけるBLTの役割 : ヒト膵臓がん組織においてBLT1, BLT2受容体が高発現していることを免疫染色とRT-PCRによって明らかにした。複数の膵臓がん細胞株において、LTB4依存的に細胞増殖の促進が観察され、これがBLT1, BLT2拮抗薬投与によって抑制されたことから、内因性に発現するBLT1, BLT2をRNAiによってノックダウンすると、細胞増殖が抑制されたことから、BLT1, 2は膵臓がん細胞の増殖に促進的に作用することが明らかとなった。 (2) 癌細胞の血行性転移におけるロイコトリエンB4受容体の機能 : 血行性転移の実験に汎用されるLLC(Lewis Lung Carcinoma)細胞に細胞マーカーとしてEGFP(Enhanced Green Fluoroscent Protein)を安定発現するLLC-GFP細胞を樹立した。この細胞をBLT1、BLT2欠損マウスの尾静脈より投与し、フローサイトメーター法、ウェスタンブロッティング法を用いて、肺への転移を検討したところ、BLT1欠損マウスにおいて有意に肺転移巣の増大を認めた。BLT2欠損マウスにおいても肺転移の増大傾向を認めたが、BLT1欠損マウスと比較するとその程度は小さかった。BLT1はCD8陽性の細胞障害性T細胞、ナチュラルキラー細胞に発現しているため、BLT1欠損マウスではこれらの癌細胞障害性のリンパ球の転移巣への移動が減弱した結果、LLC細胞の肺転移を抑制できなくなったことが示唆された。
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