2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20013041
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
丸 義朗 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 教授 (00251447)
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Keywords | 細胞運動 / ケモカイン / 微小管 |
Research Abstract |
本年度に予定した研究実施計画の(1)と(3)において成果をあげたので報告する。 (1)(肺転移実験)では、S100A8がSAA3の発現を誘導し、この両者のパラクラインカスケードが肺転移に重要であることを発見した。両者に対する中和抗体を作製し、これらが癌の自然転移や転移モデルにおける抑制効果を示すことを明らかにした。S100A8とSAA3ともに自然免疫の中核的病原体センサーであるTLR4の内因性リガンドとして機能することを生化学的実験、細胞レベルの実験、および動物実験で証明した。SAA3は転写因子NFkBを活性化SAA3自分自身の発現を亢進(自己増幅)するというユニークな特徴を示した。骨髄から肺への骨髄球系細胞の動員にも両者は重要であり、今後この現象と転移との関連の詳細を研究していく方針である。 (2)(LDL受容体実験)では伸展はなかった。 (3)(LZTS2の実験)では、LZTS2が中心体および中間体に局在する分子であり、細胞分裂や細胞運動に重要な役割を果たしていることを証明した。微小管切断分子として知られるKataninを負に制御すること、M期の進行とともに細胞内局在を変えること、などがそのメカニズムであった。このメカニズムは、神経突起の伸展にも働いておいる根源的な共通要素であることも証明した。さらに、現在注目されている抗がん剤タキサンの腫瘍における感受性や抵抗性を決定している一因子であることも示した。このような観点から単にKatanin制御分子としての位置づけにとどまらず、antephaseチェックポイントに関与する可能性も主張している。
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