2009 Fiscal Year Annual Research Report
二元的アポトーシス制御因子シノビオリンを標的としたがん研究
Project/Area Number |
20013045
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Research Institution | Choju Medical Institute, Fukushimura Hospital. |
Principal Investigator |
中島 利博 Choju Medical Institute, Fukushimura Hospital., 研究員 (90260752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒谷 聡子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究員 (40387064)
山野 嘉久 聖マリアンナ医科大学, 難病治療研究センター, 准教授 (80445882)
丸山 征郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20082282)
岡田 秀親 医療法人さわらび会福祉村病院, 長寿医学研究所, 研究員 (30160683)
赤津 裕康 医療法人さわらび会福祉村病院, 長寿医学研究所, 研究員 (00399734)
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Keywords | 関節リウマチ / シノビオリン / ESコビキチンリガーゼ / 滑膜細胞増殖 / 転写制御 / 基質 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
関節リウマチ(Rheumatoid arthritis ; RA)の滑膜細胞より新規E3ユビキチンリガーゼを同定し、滑膜細胞にちなみ遺伝子シノビオリンと命名した(HUGO GenBank ID : AB024690)。シノビオリンはRA滑膜細胞に過剰発現し、過剰発現マウスは関節症をきたす。また、マウスでのシノビオリンの欠損はアポトーシスの充進による胎生致死をもたらす(G&D 2003, JBC2005)。滑膜細胞の有するがん細胞様の強い増殖能を説明することに関して我々はシノビオリンが小胞体ストレスだけでなくp53経路をも調節することを証明した(EMBO J 2007)これらのことからシノビオリンは生体の恒常性の維持とRA発症を考える上で重要であると考えられる。これまで、分子生物学的手法と遺伝子改変動物をもちいた手法によりシノビオリンの有する生物学的活性を検証してきた。今年度は1)シノビオリンノックアウトマウス由来のマウス胎児由来線維芽細胞に種々の人工基質を強発現させる実験系を用い、小胞体内では膜結合型と溶解型の基質に対して選択的にユビキチン化酵素群が複合体を形成していること。中でもシノビオリンは溶解型の基質に対して中心的な役割を成すことについて初めて明らかとした(JCB、2010)。また、同様にシノビオリンノックアウトマウス由来のマウス胎児由来線維芽細胞とヘテロノックアウトマウスを用い2)RA,すい臓がんなどの最終像、もしくは原発性肝細胞がんの前段階である線維化に同分子が深く関与することを見出した(論文投稿中)。これらの知見によりシノビオリンの生命科学と医学の両面での作用がより一層、理解されることが期待される。
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