2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20013047
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Research Institution | Miyagi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
宮城 妙子 Miyagi Cancer Center Research Institute, 生化学部, 所長兼部長 (50006110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩崎 一弘 宮城県立がんセンター(研究所), 生化学部, 共同研究員 (70390896)
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Keywords | シアリダーゼ / 酵素 / 糖鎖 / 遺伝子 / ガングリオシド / siRNA / 情報伝達 / がん治療 |
Research Abstract |
これまで、ヒトがんで異常に高発現している形質膜シアリダーゼ(NEU3)はアポトーシスを抑制し、細胞接着や浸潤・運動等のシグナルの活性化を通じて、がんの悪性形質を増強していることを明らかにしてきた。NEU3はRas/MAPK経路の活性化を促進すること、siRNAを導入すると、Rasの活性化を阻害し、がん細胞が自ら細胞死に陥ること、正常細胞ではこの現象が見られないことを多くのがん細胞においても確認した。このことはNEU3ががん細胞の生死を左右する因子であり、がん治療の優れた標的分子である可能性が高いことを示している。NEU3による細胞死シグナル制御の分子機構について解析を進めると、酵素の触媒作用及びシグナル分子との蛋白間相互作用の両面から、シグナルの活性化をもたらしていることがわかってきた。即ち、NEU3によるEGFRのリン酸化の促進には、酵素反応産物であるラクトシルセラミドの蓄積およびNEU3蛋白とEGFRとの結合が必要であることが示唆された。また、NEU3はEGFRだけでなく、METのリン酸化やWNTシグナルを活性化するなど、がんの悪性度・に関連する複数の分子の活性化をもたらすことが分かってきた。さらに、NEU3のトランスジェニックマウスにアゾキシメタンを投与すると、前がん病変である大腸粘膜でのACF形成が有意に促進した。この粘膜細胞では、EGFRのリン酸化が亢進しており、アポトーシスが抑制されていることが確認された。NEU3異常亢進はがんの悪性形質を増強するだけでなく、発がん過程にも関与していることが明らかとなった。 以上の結果に加えて、NEU3がリン脂質のフォスファチジン酸(PA)によって活性化を受けることを見いだした。PAと相互作用することによって、膜ラッフルへの移行が促進された。 NEU3のPAによる活性化とNEU3によるEGFRシグナルの活性化の関連性を検討している。
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Research Products
(24 results)