2008 Fiscal Year Annual Research Report
血中の微量なマーカー候補蛋白質・ペプチド探索と定量評価による新しい癌診断法の開発
Project/Area Number |
20014003
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Research Institution | National Institute of Biomedical Innovation |
Principal Investigator |
朝長 毅 National Institute of Biomedical Innovation, 基盤的研究部・プロテオームリサーチプロジェクト, プロジェクトリーダー (80227644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 文夫 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80164739)
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Keywords | プロテオ-ム / ペプチド / 腫瘍マーカー / 診断 |
Research Abstract |
現在用いられている血清腫瘍マーカーの診断効率は非常に低く、新しい腫瘍マーカーの開発は急務である。近年、国内外でプロテオーム解析を用いた腫瘍マーカー探索が数多く見られるが、その解析で見出されたマーカー候補タンパク質が臨床応用された例は世界的にみても皆無である。この主な原因として、血中のタンパク質の大部分を占めるメジャータンパク質(22種類で血清タンパク質の99%を占める)が邪魔になって微量なペプチドの検出が困難であることがあげられる。そこで我々はそのメジャータンパク質を効率よく除去してペプチドを抽出する方法を確立し、大腸癌患者血清中に特異的に発現する大腸癌組織由来の微量なペプチドの単離・精製・同定に成功した。 さらに上記で見つかった大腸がんマーカー候補ペプチドの安定同位体標識ペプチドを化学合成し、それを分析対象の血清に一定量添加して、元々血清中に存在する内在性のターゲットペプチドのピークの高さと比較することで、ペプチドの定量化を可能にした。化学合成した安定同位体標識ペプチドと血清中に元々あるターゲットペプチドは、化学的な性質が分子量以外は全て等しいことから、ペプチド抽出時の振る舞い、HPLCの溶出時間ならびに、質量分析計でのイオン化効率が同じであり、しかも安定同位体ペプチドは分子量がわずかに大きいので質量分析計で測定すると両方のペプチドを同時にダブレットピークとして検出できる。従って、様々な血清中のターゲットペプチドの存在量を、導入した安定同位体標識ペプチドを基準として定量解析することが可能となる。この手法を用い、大腸癌患者6例中5例において3種類全てのマーカー候補ペプチドの血清中の存在量が手術に伴って減少していることが確認できた。
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Research Products
(15 results)