2008 Fiscal Year Annual Research Report
異物解毒システムの個人間変動要因に基づいた抗癌剤処方の最適化戦略の開発
Project/Area Number |
20014005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉山 雄一 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 教授 (80090471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠原 洋之 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (00302612)
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Keywords | 薬学 / 薬剤反応性 / トランスポーター / 遺伝子多型 / 抗がん剤 / DNAメチル化 |
Research Abstract |
Tag SNP解析結果、docetaxelの有害作用(好中球減少の重篤度)について、薬物トランスポーターOATP1B3とMRP2のSNPをダブルで有するとOdds比が7倍にもなると報告されている。そこで、docetaxel、paclitaxelの体内動態におけるこれらトランスポーターの関与について検討した。肝シヌソイド側トランスポーターの過剰発現系を用いたin vitro輸送実験の結果、OATP1B3のみが基質とすることを見いだした。また、docetaxel、paclitaxelの肝消失の主メカニズムは代謝であることから、GCSFを使用したコロニーアッセイにより、好中球に対する感受性を野生型、Mrp2欠損変異ラットで比較した。その結果、Mrp2欠損ラットから調製した好中球ではdocetaxelに対する感受性が増加していた。これらの結果は、ゲノム解析の結果と矛盾していない。肝取り込みが全体の律速段階となる場合、血中濃度には、肝取り込み過程の変動が大きく影響を与えるのに対して、代謝・排泄過程はほとんど影響を与えない場合があることをシミュレーション解析により明らかにした。 OATP1B3は癌細胞で発現していることが知られており、乳がんにおいてOATP1B3が発現している場合には予後の改善および再発リスクが低いことが知られている。この癌細胞における発現の有無を決める要因として、エピジェネティックに注目した。OATP1B3発現、非発現細胞においてOATP1B3遺伝子のメチル化状態を解析した結果、一部のサイトについては相関が見られたことから、DNAメチル化が発現の有無を決定づける要因の1つであることが示唆された。OATP1B3は肝臓特異的に発現しているトランスポーターであるが、肝特異的に発現しているトランスポーター群もDNAメチル化により発現が決定づけられていることが示唆された。
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