2008 Fiscal Year Annual Research Report
修復遺伝子多型・変異のCommon Cancerの遺伝的素因への影響
Project/Area Number |
20014007
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
椙村 春彦 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部, 教授 (00196742)
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Keywords | 修復遺伝子 / 遺伝子多型 / がん感受性 / 相関研究 / SNP / AYA / 胃がん / 大腸癌 |
Research Abstract |
Common Cancer(消火器癌や肺がん)の発生にかかわる遺伝的素因を以下の検討をした。 1. 生活習慣情報を考慮した症例対照研究DNAを用いて、がん感受性に関与すると思われる遺伝子を、遺伝子多型の面から評価した。対象とした遺伝子は、塩基除去修復遺伝子の多型、またp53のようなDNA障害やその修復過程に関与する遺伝子、一炭素代謝に関与する酵素遺伝子などである。2. 家族集積例を用いて、がん関連遺伝子の生殖細胞系列における変化を検索した。具体的には、adolescent and young adult(AYA)といわれる年齢領域に発生した多発がん例などを対象とした。3. 環境中の発がん物質と、腫瘍細胞との交互作用を検討するため、とくに、喫煙と関係の深い肺がん細胞において、発癌物質Benzopyrene di epoxide(BPDE)と細胞側の染色体不安定性との関連を検討した。 また、腫瘍の染色体不安定性を指標にしたときの環境要因の暴露あるいはそれに関連した発生部位との関連をシュゴシンという分子の変化を目安に考慮した。以上の結果、次のことを明らかにした。1. 日本人大腸癌で、MYHのhaplotypeのひとつが、リスクを上昇させ、また別の一つはリスクを下げることがわかった。MYHは遺伝性劣性ポリポーシスの原因遺伝子であるが、散発性大腸癌のリスクについての環境因子を考慮した評価は初めてであり、生活習慣とあわせた、本邦のハイリスク群や効果的な大腸癌予防surveillahceへの基礎dataになる。2. P53の生殖細胞系列が家族歴のない多発がん例で見いだされ、今後AYAにおこる癌(非常に社会的影響が大きい)への対応に重要な知見を見いだした。3. BPDEはcentrosomeの不安定性を介し腫瘍の悪性度をあげることを肺がん細胞で明らかにし、またシュゴシンの減弱がとくに左半結腸の染色体不安定性の強い大腸癌の病態にかかわることを明らかにし、国際的な反響を呼んだ。(国際誌のeditorialに取り上げられた)
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