2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20014008
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
清井 仁 Nagoya University, 医学部附属病院, 講師 (90314004)
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Keywords | キナーゼ / 白血病 / 阻害剤 |
Research Abstract |
本研究では、各種キナーゼ阻害剤に対する感受性を基に白血病の層別化を試みた。 昨年度までに、受容体型チロシンキナーゼであるFLT3およびKIT阻害剤の感受性がリガンド刺激によって軽減されることを明らかにしたことより、膜結合型リガンド(FL及びSCF)発現支持細胞を樹立し、これらとの共培養系での評価を追加した。 1. リガンド発現細胞との接着状態での共発現培養系では、選択性の高い阻害剤による増殖抑制効果の減弱が、液体培養系よりもより顕著に認められることが明らかとなった。 2. この阻害効果の減弱は正常キナーゼ分子の発現が高いものほど強い傾向にあることから、正常および変異型FLT3共発現細胞を樹立して検討したところ、正常FLT3分子を介したリガンド依存性シグナルが阻害剤の効果を減弱していることが明らかとなった。 3. 一方、マルチキナーゼ阻害活性を有する化合物では、リガンド刺激による阻害効果の減弱が弱いことから、選択性の高い阻害剤との比較を行う事により、より白血病細胞の依存する活性化キナーゼを同定することが可能であり層別化に有用であることを明らかにした。 4. 上記方法とKIT、FLT3選択的阻害剤を用いることにより、KIT、FLT3キナーゼに依存度の高いAMLが層別化され、これら阻害剤の治療効果予測に有用と考えられた。 5. trans-golgiでの糖鎖修飾と分泌を阻害するmonencinを用いることにより、大多数のAML細胞の増殖および支持細胞との接着が阻害された。これは受容体型キナーゼが細胞表面に発現されないために誘導される現象であり、monencin耐性の細胞では細胞質内での変異型キナーゼの活性化が認められた。 これらの結果から、受容体型チロシンキナーゼ依存性が高く、阻害剤の有効性が期待される一群を抽出した。monencin耐性AML細胞質内で活性化している未知のキナーゼをリン酸化抗体アレイで同定することにより新たな変異キナーゼの同定を試みた。
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