2008 Fiscal Year Annual Research Report
染色体末端テロメアGテール測定によるがんのリスク評価
Project/Area Number |
20014015
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田原 栄俊 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00271065)
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Keywords | テロメア / Gテール / リスク診断 / がん / 診断 |
Research Abstract |
ヒトの染色体の末端に存在するテロメアDNAは、そのほとんどが二本鎖であるが、最末端部分は一本鎖の3'突出テロメアDNA(テロメアG-tail)が存在している。全テロメア長においては、がん患者での末梢血のDNAにおいて短縮がみられることが報告されているが、テロメアG-tailに関しては報告がない。近年、テロメアG-tailの長さは、染色体末端の保護においてきわめて重要であることがわかってきており、テロメアG-tail長ががんなどの染色体安定性が重要である疾患で短くなっている可能性が考えられた。そこで、我々が開発したG-tail telomere HPA法を用いて健常人およびがん患者の末梢血サンプルの全テロメア長およびテロメアG-tailを測定した。その結果、健常人においては年齢依存的にG-tailおよび全テロメアともに短縮することが明らかになった。さらに、胃や大腸などの消化器のがん患者において、末梢血を用いて全テロメア長およびG-tail長を測定した。全テロメア長については、同年齢の健常人に比べて多少短い傾向にあったが顕著ではなかった。一方、テロメアG-tail長は、消化器がん患者において全テロメア長に比べて顕著にG-tailの短縮がみられた。消化器がん患者において全テロメア長が同年代の平均と比較して短縮がみられない場合でも、テロメアG-tailが顕著である場合もありテロメアG-tail長測定がリスク診断を行う上で全テロメア長よりもリスク評価マーカーとして適している可能性が考えられた。以上の結果から、消化器がんの患者においてテロメアG-tailが顕著に短縮していることが明らかになり、テロメアG-tail長を指標としてがんのリスク診断を行える可能性が考えられた。
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