2009 Fiscal Year Annual Research Report
染色体末端テロメアGテール測定によるがんのリスク評価
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20014015
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田原 栄俊 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00271065)
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Keywords | Gテール / テロメア / がん / リスク診断 |
Research Abstract |
ヒトの染色体の末端の最末端部分は一本鎖の3'突出テロメアDNA(テロメアG-tail)が存在している。全テロメア長においては、がん患者での末梢血のDNAにおいて短縮がみられることが報告されているが、テロメアG-tailに関しては、多量の臨床検体を用いたG-tailの長さを評価できる方法がなかった。がん患者におけるテロメアG-tailの短縮と健常人のテロメアG-tailを比較検討して、がん患者におけるテロメアの不安定性の指標としてG-tail長が有用であるかどうか評価することを目的とした。我々が開発したG-tail telomere HPA法を臨床検体に適応できるように改良した方法の検討を行い、多量検体を用いた場合のアッセイ間の補正方法を確立し、96ウエルプレート用いて検討を行った。また、がん腫としては、胃がん、大腸がん、リンパ腫の患者の末梢血を採取した。対照として、採血時に慢性的な疾患でない健常人20歳から80歳までの年齢分布で、20歳から5歳間隔で最低30例以上になるように末梢血を採取してゲノムDNAを精製し、合計約1000人分のテロメア長、G-tail長の解析を行った。その結果、健常人においては年齢増加に伴うG-tail長の短縮がみられた。短縮の傾向は、全テロメア長と相関している傾向であるが、G-tailのみ極端に短いグループも存在した。さらに、胃がん、大腸がん、リンパ腫などのがん患者においては、年齢を考慮に入れたどう年齢層で比較した場合、顕著にテロメアG-tailの短縮がみられた。以上の結果から、がん患者の末梢血を用いたテロメアG-tail長の測定方法及び評価方法の確立に成功し、実際に胃がん、大腸がんなどの消化器がんの患者においてテロメアG-tailが顕著に短縮し、テロメアG-tail長を指標としてがんのリスク診断を行える可能性が考えられた。
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