2008 Fiscal Year Annual Research Report
有効な腫瘍マーカーのない婦人科悪性腫瘍に対する新しい腫瘍マーカーの確立
Project/Area Number |
20014024
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
津田 浩史 Keio University, 医学部, 講師 (00423880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 豊雅 徳島大学, 疾患ゲノム研究センター, 教授 (60291895)
青木 大輔 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (30167788)
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Keywords | 上皮性卵巣癌 / 子宮体癌 / 明細胞腺癌 / HIG2蛋白 |
Research Abstract |
【目的】近年、上皮性卵巣癌・子宮体癌は増加している。卵巣癌では有効な検診方法もなく、またCA125という優れた腫瘍マーカーがあるものの、早期癌(I、II期)やある種の組織型(明細胞型、粘液型)では陽性率は低い。一方、体癌では検診として内膜細胞診が行われるが、正診率は60%程度であり、また卵巣癌ほど有望な腫瘍マーカーは存在しない。頚癌では検診体制は確立されているが、近年増加傾向にある腺癌への対応は不十分で、精度の高い腫瘍マーカーはない。我々が新しく発見したHIG2蛋白につき、婦人科悪性腫瘍における意義を検証するとともに、有効な腫瘍マーカーがない癌腫に対して腫瘍マーカーとしての有効性を確認する。【方法】対象 : 上皮性卵巣癌254例(明細胞130例 ; 漿液51例 ; 粘液25例 ; 類内膜31例 ; 未分化17例)、子宮体癌163例(類内膜腺癌 : 146例明細胞腺癌 : 17例)。方法 : 作成したHIG2蛋白に対する抗体をにて免疫染色を施行し、蛋白発現と臨床的背景と比較検討した。【結果】1) 卵巣癌 : HIG2蛋白発現率は、明細胞、漿液、粘液、類内膜、未分化で83%、55%、40%、58%、64%と明細胞で有意に高かった(p<0.01)。組織分化度、進行期および年齢と発現率の間には相関性は認めなかった。2) 体癌 : 発現率は、明細胞、類内膜型でそれぞれ100%、66%(p=0.007)と明細胞で有意に高かった。しかし組織分化度、進行期および年齢と発現率の間には相関性億認めなかった。【結論】従来、有効な腫瘍マーカーが無かった卵巣明細胞腺癌および子宮体部明細胞腺癌で、HIG2蛋白発現率が高かった。HIG2蛋白は分泌型蛋白で、血中測定が可能になれば、有効な腫瘍マーカーになりうる可能性があることが示唆された。
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Research Products
(1 results)