2008 Fiscal Year Annual Research Report
シアル酸化N-結合型糖鎖の網羅的解析による癌の分類
Project/Area Number |
20014027
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
池中 一裕 National Institute for Physiological Sciences, 分子生理研究系, 教授 (00144527)
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Keywords | シアル酸化糖鎖 / ピリジルアミノ化 / HPLC |
Research Abstract |
平成20年度は脳腫瘍と肝癌に関して解析を行つた。 まず、脳腫瘍由来の株化細胞(T98ヒトグリオブラストーマ、U251ヒトグリオーマ、HKBML脳由来悪性リンパ腫)の糖タンパク質糖鎖構造を解析した。どの細胞株も脳内で重要な糖鎖構造であるハイマンノース型糖鎖が多かった。しかし、T98およびU251は脳と同じく2, 3結合でシアル酸がついているのに対し、HKBMLは2, 6結合でついていた。2, 6結合シアル酸は血液中で多いので、脳内で採取されたものでもリンパ腫は血液のシアル酸型を維持しているのが興味深い。それにも関わらず、リンパ腫は脳で特徴的なハイマンノース型糖鎖を多く有しているので、血液より脳に近い糖鎖構造も示している。癌化や転移により、どのような仕組みで糖鎖構造が変化するのか検討するためのよい細胞株であることが分かった。さらにマイグロダイセクションしたグリオーマ標本でも糖鎖構造解析が可能であり、その糖鎖構造は脳型に近いが、脳で非常に多く発現しているBA2という糖鎖は極めて少なかった。 肝癌に関してはマウス肝癌細胞株BNL, HepG2, Hepal-6を、またヒトの肝癌切除標本を解析した。一股に癌化に伴いGlcNAc転移酵素Vの活性の上がることが報告されていたが、マウス肝臓においては最初からその転移産物が多く存在し、癌化によつても増加しないことが明らかとなった。しかし、ヒトにおいても癌化に伴いGlcNAc転移酵素IVの産物が増える傾向にあった。
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