2008 Fiscal Year Annual Research Report
肺発がん感受性遺伝子群の同定及びその相互作用の検討
Project/Area Number |
20014031
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
河野 隆志 National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, 研究所・生物学部, 室長 (80280783)
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Keywords | 遺伝子多様性 / DNA損傷・修復 / ゲノム医科学 / 非閉塞性肺疾患 / 獲得免疫 |
Research Abstract |
マイクロサテライト多型-ゲノム網羅的関連解析により同定された7つの肺腺がん感受性遺伝子座に存在する一塩基多型(SNP)について関連解析を行った。2つのマイクロサテライト座は第6染色体短腕上にお互いに数10-kb離れて存在していた。その一方の座が最も強い関連を示し(P<10-7)、近傍のSNPsがP<10-6レベルの関連を示した。よって当該座を肺腺がん感受性遺伝子座として同定した。この座のSNPsは数100-kbに及ぶ連鎖不平衡ブロックを形成し、当該ブロックは4つの免疫関連遺伝子を含んでいた。今後、さらにSNPs、sampleを追加して関連解析を行うことで、責任遺伝子を同定する予定である。また、マウス肺腫瘍感受性遺伝子座Pas1のヒトホモログの多型に関して、肺腺がんリスクとの関連を検討した。その結果、KRASがん遺伝子の多型が腺腫(異型腺腫様過形成)の併発を伴う肺腺がんのリスクに関連することを明らかにした。また、KRAS危険アレルからのmRNA発現量は安全アレルからよりも多いことを見出した。よって、KRAS遺伝子の多型はKRASがん遺伝子の発現量の差をもたらすことにより、肺腺腫やそこから進展する肺腺がんのリスクに影響を与えることが示された。本研究により、複数の肺がん感受性遺伝子座が同定された。今後、上記マイクロサテライト座より責任遺伝子を同定するとともに、国内外の結果を含め肺がんリスクと関連を示す複数の遺伝子の多型に関して、遺伝子間での相互作用、年齢、性別、組織型等における特異性を明らかにすることで、肺がん感受性を規定する遺伝要因の把握を行う予定である。
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