2009 Fiscal Year Annual Research Report
肺発がん感受性遺伝子群の同定及びその相互作用の検討
Project/Area Number |
20014031
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
河野 隆志 National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, 研究所 生物学部, 室長 (80280783)
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Keywords | 遺伝子多様性 / DNA損傷・修復 / ゲノム医科学 / 非閉塞性肺疾患 / 獲得免疫 |
Research Abstract |
23,000マイクロサテライト多型を用いた肺腺がん症例・対照群に対するゲノム網羅的関連解析により、染色体6p21.3に位置するD6S0067i座を肺腺がん感受性遺伝子座として同定し(P=2.4x10-7)。D6S0067i座周辺450-kbに存在する一塩基多型(SNP)について関連解析を行った。その結果、この座のSNPsは3つの連鎖不平衡ブロックを形成し、4つのクラスII主要組織適合遺伝子HLA-DQA1、-DQB1、-DRA1、-DRB1が一つのブロックに含まれていた。HLA-DQA1領域のSNPsが最も強い関連を示したことから、当該領域の責任遺伝子であると判断した。HLA-DQA1遺伝子の*03アレルは1656人の肺腺がん症例、1173人の対照間でリスクアレルであった(オッズ比=1.36,P=5.3x10-7)。よって、免疫反応の個人差が肺がんリスクを規定していることが示唆された。欧米人のゲノム網羅的関連解析で同定されたTERT遺伝子、CHRNA遺伝子の多型も本集団で肺腺がんリスクとの関連を示し、それぞれが独立に肺腺がんリスクに寄与していることが示された。リスクへの寄与は、HLA-DQA1及びCHRNA遺伝子は、肺がんの主要組織型である腺がん・扁平上皮がん・小細胞がんによらず寄与し、TERT遺伝子は腺がん特異的に寄与することが示唆された。よって、他国からの報告通り、本邦においてもTERT遺伝子は腺がん特異的、CHRNA遺伝子は腫瘍組織型に亘り感受性遺伝子として機能していることが確認された。日本人集団に2%存在するHLA-DQA1遺伝子の*03アレル及びTERT遺伝子のリスクアレルの両ホモ接合体のは肺腺がん高危険群であることが示唆された(オッズ比=4.76,P=4.2x10-7)。この結果は、HLA-DQA1及びTERT遺伝子の多型が本邦における肺腺がん高危険度群の同定に重要であることを示唆する。
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Research Products
(5 results)