2008 Fiscal Year Annual Research Report
EGFR陽性がんの標的治療を目指す低分子抗体の創製
Project/Area Number |
20015004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
熊谷 泉 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 教授 (10161689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅津 光央 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (70333846)
浅野 竜太郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (80323103)
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Keywords | EGFR / 低分子抗体 / 一本鎖抗体 / PEG化 / 多量体化 / 多価化 / 高機能性フォーマット / 化学修飾 |
Research Abstract |
ヒト型化抗EGFR抗体528は可変領域(Fv)のみを用いて作製した低分子二価抗体が単独で、がん細胞成長抑制効果を示すことも確認している他、X線結晶構造解析に基づく考察により、親和性の向上にも成功している。本研究は、このヒト型化528Fvを用いて、さらなる高親和性クローンの取得、多価化、高機能性フォーマットの開発の観点から研究を進め、EGFR陽性がん腫を標的とする新規低分子抗体の創製を目指している。本年度の研究成果は以下の通りである。 1、高親和性クローンの取得 : 構造情報に基づき作製した無作為変異導入ライブラリとファージ提示法を用いて、高親和性のクローンの取得を進めた。直接抗原と相互作用する領域に加えて、周辺の構造上重要な残基への変異導入を行うことでも親和性が向上したクローンを単離することに成功し、さらにFvだけではなく一本鎖抗体(scFv)の形態でも親和性が向上したことを確認した。 2、多価化分子の開発 : ヒト型化528に基づく二価抗体は、一本鎖抗体(scFv)のリンカー長の短縮により調製される。そこで、さらなる多価化を目指して、リンカー長および、その構成アミノ酸の改変を行った結果、三価、四価の低分子抗体の調製に成功し、またそれぞれ多価化に応じた親和性とがん細胞の成長抑制効果の向上がみられた。ファージを用いたリンカーの最適化にも着手し、VH、VLの配向性も含めて、よりがん細胞の成長抑制効果の強い分子の開発を進めた。 3、高機能性フォーマットの開発 : がん治療を目指す、低分子抗体の高機能化に向けてフォーマットの変換と化学修飾の観点から開発を進めた。特にポリエチレングリコール付加(PEG化)に向けては、scFv単量体をモデルに2種類の修飾方法の技術基盤を確立した。
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