2008 Fiscal Year Annual Research Report
重粒子線によるがん細胞殺傷機序・治療抵抗性機序の解明とその治療応用
Project/Area Number |
20015007
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
北中 千史 Yamagata University, 医学部, 教授 (70260320)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 建二 山形大学, 医学部, 教授 (10208291)
砂山 潤 山形大学, 医学部, 助教 (80466606)
|
Keywords | がん / 重粒子線 |
Research Abstract |
重粒子線によるがん治療は格段に優れた線量分布や高い生物学的効果など、従来の光子線に比べて極めて有利な特徴を有しており、今後のがん放射線治療においてますます大きな役割を担うものと考えられる。しかしながら重粒子線といえども万能ではなく、今後より多くのがん種で満足のゆく治療成績を得るためには、重粒子線によるがん細胞殺傷機序を理解し、その知見に基づきがん細胞に対してより選択的・効果的な重粒子線治療を可能にする新たな方法論を模索することが重要である。本研究課題では主にグリオーマ細胞を用いて、重粒子線(炭素線)照射により誘導される細胞死のメカニズム解析を行った。 その結果、重粒子線により誘発されるグリオーマ細胞の細胞死は、少なくとも照射後早期に誘導されるものについては、主にカスパーゼ依存的なアポトーシスにより生じていること、また、カスパーゼの活性化がミトコンドリア経路を介しておきていることが明らかになった。さらにキナーゼに対する阻害剤が重粒子線によるミトコンドリア経路依存的なアポトーシス誘導を抑制したことから、ミトコンドリアの上流域での細胞死シグナル伝達にこの阻害剤により抑制されるシグナル伝達キナーゼが関与していることが示唆された。これらの結果はシグナル伝達キナーゼーミトコンドリアーカスパーゼと至るシグナル伝達経路上の分子を標的としそのシグナル伝達を促進するような薬剤が重粒子線の増感剤となりうる可能性を示唆するものである。
|
Research Products
(4 results)