2009 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞機能の理解に基づく腫瘍特異的免疫誘導法の開発
Project/Area Number |
20015016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田原 秀晃 The University of Tokyo, 医科学研究所, 教授 (70322071)
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Keywords | 免疫学 / がん治療 / 樹状細胞 / サイトカイン / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
自然免疫と獲得免疫の橋渡し役を担う樹状細胞は、生体の免疫反応の種類と程度を司る重要な専門的抗原呈示細胞である。この細胞群の機能を十分に解析し、その結果を利用すれば、がん免疫療法を飛躍的に発展させるための糸口が見出せると考えられる。そこで本研究においては、成熟した樹状細胞の分泌するサイトカインであり我々がその抗腫瘍効果と機序について最近報告したIL-23の機能解析ならびに治療への応用方法の開発について検討した。またそれに加えて、apoptosisに陥った癌細胞が、自らに対する免疫寛容を誘導する機序を解析し、その状況を改善する方法について検討した。その結果、以下の知見を得た。マウス皮下腫瘍モデルならびに肺転移モデルなどにおける治療としてIL-23 cDNAをIVEにより筋肉内に遺伝子導入してIL-23蛋白を全身投与したところ強い抗腫瘍効果が得られることが確認された。この抗腫瘍免疫反応誘導の機序を解析するために、治療されたマウスのリンパ節ならびに脾臓における抗腫瘍免疫反応の性質と程度を検討したところNKおよびNK-T細胞がこの抗腫瘍効果に関与することが示唆された。また、IL-23投与により誘導されるTh17反応の抗腫瘍効果への関与に関して、IL-17遺伝子ノックアウト・マウスを用いて検討を始めたが、IL-17欠損による明らかな抗腫瘍効果の減弱は認めなかった。しかし、NK細胞反応については減弱を示唆する結果が得られたので今後さらに詳細な検討を予定している。免疫寛容を誘導する因子としてMilk Fat Globule EGF-8に着目し、この分子を抗体により阻害することにより、細胞障害性の治療法(抗がん剤ならびに放射線治療)の抗腫瘍効果を有意に増強できることを見出した。以上の結果より、樹状細胞機能の利用により有効ながん免疫療法の開発が可能になることが示唆された。
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Research Products
(6 results)