2008 Fiscal Year Annual Research Report
インターフェロン遺伝子発現の増強・持続化による新規癌治療戦略
Project/Area Number |
20015022
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高倉 喜信 Kyoto University, 薬学研究科, 教授 (30171432)
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Keywords | 遺伝子治療 / インターフェロン / 薬動学解析 / ベクター開発 / CpGモチーフ |
Research Abstract |
癌を対象としたインターフェロン(IFN)遺伝子治療効果の増強を目的に、まずCpGモチーフをほぼ完全に除去したIFN発現プラスミドベクターの開発による発現の持続化に取り組んだ。ベクター骨格中に全くCpGモチーフを含まないpCpG-mcsに、マウスIFN-γcDNAを挿入することで、pCpG-Muγを構築した。得られたベクターをマウスにハイドロダイナミクス法により投与したところ、血清中IFN-γ濃度が90日以上検出可能であった。このときの血清中濃度-時間曲線に対して薬動学解析をしたところ、今回開発したベクターは、従来型ベクターと比較してAUCで約180倍、MRTで約4倍もの発現増強・持続を示すことが明らかとなった。そこでマウス結腸癌細胞株CT26、colon26/lucを尾静脈内投与することで作成した肺転移モデルマウスを用い、癌転移抑制効果を評価したところ、新規IFN-γ発現ベクターが最も高い抑制効果を示し、癌治療を目的としたIFN-γ遺伝子治療において持続的発現の重要性が実証された。癌細胞にIFNが作用すると、IFNシグナル伝達によりsupressor of cytokine signaling(SOCS)発現が亢進することが知られている。SOCS発現によりIFNの作用が減弱されることで、IFNの抗腫瘍効果が減弱する可能性が考えられる。そこで、colon26及びマウスメラノーマB16-BL6細胞を用い、IFNの細胞増殖抑制効果に及ぼすSOCS-1、SOCS-3遺伝子ノックダウンの影響を判定した。RNA干渉を使用して細胞でのSOCS遺伝子発現を抑制したところ、特にSOCS-1遺伝子をノックダウンすることでIFN-γの効果が有意に増強された。従って、持続的にIFNを発現することにより癌細胞増殖が顕著に抑制可能であること、IFNに対する耐性が懸念される場合には癌細胞でのSOCS-1発現をノックダウンすることで耐性を克服できる可能性が示された。
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Research Products
(16 results)