Research Abstract |
セマフォリンファミリーは神経ガイダンス因子として同定されてきた分子群であるが、近年血管新生、器官形成、癌抑制及び免疫応答への関与などへの多彩な作用が報告されている。申請者らはこれまで、セマフォリンの免疫増強作用を明らかにするとともに(Immunity13:621, 2000, Immunity13:633, 2000, Nature419, 629, 2002, Nat. Rev. Immunol., 3:159, 2003, Immunity22:305, 2005, Nat Cell Biol. 8:545, 2006, Nature446:680, 2007)、セマフォリンの心臓・血管、神経発生への関与を明らかにしてきた(Genes Dev. 18:435, 2004, Nat Cell Biol. 6:1204, 2004, Nat Neurosci. 8, 1712-1719, 2005, EMBO J. 26:1373, 2007)。本研究計画では、これまでの本特定領域での研究で明らかとなったセマフォリンがその免疫増強活性とともに併せ持つ血管新生阻害作用に着目し、免疫増強による腫瘍拒絶と腫瘍血管形成阻害という両側面からのより効果的な癌治療法の確立を目指す。またセマフォリンの血管内皮細胞動態へのセマフォリンの作用についてもがんの転移制御という観点での検討を併せて行うことを目的としている。今年度は主としてセマフォリンの血管内皮細胞に対する活性の検討を血管内皮細胞(HUVEC)を使用した細胞遊走能実験、増殖能実験、細胞接着能で検討し、セマフォリンの血管新生阻害活性を確認するとともに、VBGFにより誘導されることで知られるRho, Rac, PAK, Aktなどのシグナル伝達分子の活性化に対する影響も示した。
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