2008 Fiscal Year Annual Research Report
進行食道癌に対するテロメラーゼ活性を標的とする新規アデノウイルス製剤の創薬研究
Project/Area Number |
20015030
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤原 俊義 Okayama University, 医学部・歯学部附属病院, 准教授 (00304303)
|
Keywords | テロメラーゼ / アデノウイルス / 食道癌 / 前臨床研究 / 創薬 |
Research Abstract |
局所進行食道癌は難治癌の一つであり、安全性と有効性を兼ね備えた新たな標準治療の確立が望まれている。Telomelysinは、「かぜ」症状の原因となるアデノウイルス5型を基本骨格とし、ウイルス増殖に必須のE1遺伝子をテロメラーゼ構成分子であるhTERT(human telomerase reverse transcriptase)遺伝子のプロモーターで制御することで、癌細胞のみで増殖し細胞死を生じるように改変された国産のウイルス製剤である。本研究では、局所進行食道癌を対象としたTelomelysinの第II相臨床試験の理論的根拠となる前臨床研究として、同所性ヒト食道癌モデルを用いてTelomelysinの抗腫瘍活性を検討することを目的とする。本年度は、in vitroにおけるTelomelysinの抗腫瘍効果を食道腺癌細胞株、扁平上皮癌細胞株を用いてXTTアッセイにて検討したところ、Telomelysinの容量依存性に有意な細胞障害活性(cytopathic effect、CPE)が認められた。また、リアルタイムin vivoイメージング装置IVISで検出するため、ルシフェラーゼ遺伝子導入食道癌細胞株を樹立した。さらに、同所性ヒト食道癌モデルの作成を試みた。麻酔下のヌードマウスを開腹し、胃を下方に牽引することで下部食道部分を展開、マトリゲルに混じたTE8食道癌細胞を食道壁内に移植した。28日目にマウスを犠牲死させて腹腔内を観察したところ、食道壁外に突出する腫瘍が認められ、組織学的にもヒト食道扁平上皮癌であることを確認した。しかし、腫瘍増大にもかかわらず体重減少はみられず、摂食障害による腫瘍死は認められなかった。今後は、このモデルを用いてTelomelysinの腫瘍内投与の抗腫瘍効果をin vivoにて検討していく予定である。
|