2009 Fiscal Year Annual Research Report
進行食道癌に対するテロメラーゼ活性を標的とする新規アデノウイルス製剤の創薬研究
Project/Area Number |
20015030
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤原 俊義 Okayama University, 病院, 准教授 (00304303)
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Keywords | テロメラーゼ / アデノウイルス / 食道癌 / 前臨床研究 / 創薬 |
Research Abstract |
局所進行食道癌は難治癌の一つであり、安全性と有効性を兼ね備えた新たな標準治療の確立が望まれている。Telomelysinは、「かぜ」症状の原因となるアデノウイルス5型を基本骨格とし、ウイルス増殖に必須のE1遺伝子をテロメラーゼ構成分子であるhTERT(human telomerase reverse transcriptase)遺伝子のプロモーターで制御することで、癌細胞のみで増殖し細胞死を生じるように改変された国産のウイルス製剤である。本研究では、局所進行食道癌を対象としたTelomelysinの第II相臨床試験の理論的根拠となる前臨床研究として、同所性ヒト食道癌モデルを用いてTelomelysinの抗腫瘍活性を検討することを目的とする。本年度は、まずヒト食道癌ヌードマウス背部移植モデルにおけるTelomelysinの抗腫瘍効果を検討した。ヒト食道扁平上皮癌細胞TE8およびヒト食道腺癌細胞SEG-1をヌードマウス背部皮下に移植し、Telomelysin単独、放射線単独、およびTelomelysinと放射線併用の抗腫瘍効果を比較したところ、併用群で最も顕著な増殖抑制効果がみられた。また、昨年度に確立した同所性食道癌モデルを用いてTelomelysinの抗腫瘍活性を検証した。ルシフェラーゼ遺伝子発現食道癌細胞株TE8を食道壁内に移植し、Telomelysin単独腫瘍内投与、放射線単独、およびTelomelysinと放射線併用を3回施行し、リアルタイムin vivoイメージング装置IVISを用いて経時的な腫瘍増殖と進展を体外的に評価した。やはり、Telomelysin腫瘍内投与と放射線照射を併用した群で有意な抗腫瘍効果の増強が認められた。この併用治療によって明らかな体重減少はみられず、本治療が安全に施行可能であることが示唆された。現在、臨床プロトコールを学内審査委員会に申請中である。
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