2008 Fiscal Year Annual Research Report
誤標的された正常細胞をも抗がんに動員する統合的遺伝子治療の新戦略
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20015031
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
許 南浩 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70142023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪口 政清 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (70379840)
片岡 健 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10293317)
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Keywords | REIC / Dkk / IL-7 / NK細胞 / 免疫 / Bip / Id / 樹状細胞 |
Research Abstract |
Ad-REIC(REIC/Dkk-3発現アデノウィルスベクター)による腫瘍特異的アポトーシス誘導の分子機構解明 REIC/Dkk-3はIRE1α-ASK1-JNKのシグナルを介してがん細胞にアポトーシスをもたらすが、正常細胞では、JNKの活性化は起こらず、IRE1α-ASK1-p38の経路が働くことで、アポトーシスを回避していることが明らかとなった。また、Ad-REIC感染正常細胞では、この経路(IRE1α-ASK1-p38)を介してIL-7(免疫活性化サイトカイン)産生亢進を誘導し、NK細胞の活性化を介して間接的に抗腫瘍効果をもたらすことが明らかとなった(J Biol Chem, in press)。 REIC/Dkk-3によるアポトーシス誘導起因としてのER-stressの特性解析 完全長のREIC/Dkk-3より複数のREICフラグメント発現コンストラクト[REIC/Dkk-3全長のcDNA(RF : 1-350aa)、及びそのフラグメント(R1 : 1-78aa, R2 : 1-146aa, R3 : 1-207aa, R4 : 1-284aa)]を作成した。REIC/Dkk-3の一連のコンストラクトを前立腺がん細胞株に発現させて死細胞率を評価したところ、フラグメントR1に完全長を遙かに上回るがん特異的細胞死誘導能を見出した。機序としては、完全長と同じくER-stressによるものであり、その特性としてJNKの持続的な活性化を示した(Biochem Biophys Res Commun. 375 : 614-618, 2008)。 がんのAd-REICに対する耐性獲得機構とその原因因子の探索 Ad-REIC感受性細胞をAd-REICに反復曝露して単離した獲得性抵抗性株、最初から抵抗性を示した固有性抵抗性株を多数解析し、BcI-2(Acta Med Okayama. 62 : 393-401, 2008)、Idタンパク質(Cancer Res. 68 : 8333-8341, 2008)、Grp78/Bip(論文投稿中)等の発現状態がAd-REIC感受性を左右していることが明らかとなった。 分泌型REIC/Dkk-3の機能解析と抗腫瘍効果の検討 分泌型REIC/Dkk-3は末梢血単球の樹上細胞様細胞への分化を誘導することで、免疫系を介した抗腫瘍効果(遠隔転移モデルに対しても有効)を持つことが明らかとなった(Int J Oncol. 34 : 657-663, 2009)。 このようにREIC/Dkk-3は細胞内外でがんと正常とを見分ける抗腫瘍因子として位置づけられ科学的・技術的にも大きな価値を有していることが明らとなった。
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Research Products
(5 results)