2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20015033
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
際田 弘志 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50120184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 竜弘 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (50325271)
山崎 尚志 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (20271083)
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Keywords | DDS / がん治療 / 抗がん剤 / リポソーム / 腫瘍内微小環境 / メトロノミック・ケモセラピー |
Research Abstract |
微粒子性DDSキャリアによる抗がん剤デリバリーは、血行性に微粒子が腫瘍に送達されるため、血管密度の低い膵臓がんなどでは効果を示さない。Low dose metronomic chemotherapy(LDM)は抗がん剤を低用量で繰り返し投与することによりがん新生血管の形成を阻害し、腫瘍の増殖・浸潤・転移を抑制しようとするがんと共存することを目的にした新たな治療法である。申請者は、LDM時の血管構造の変化に着目し検討したところ、(1)低用量・繰り返し投与時に極めて微細な新生血管の形成が確認され、一過性に血管密度が上昇し血流量が増大する、(2)低用量・繰り返し投与時にがん新生血管が障害を受けるのにともない、長期血中滞留性リポソームの腫瘍組織への移行量が増大する、(3)実際にLDMと抗がん剤封入リポソーム静脈内投与を組み合わせることによって抗腫瘍効果が向上する、ことを確認した。このような腫瘍内微小環境変化を利用すれば、これまでの化学療法では治療が困難な膵臓がんなどの治療が可能になるのではないかと考えた。 当該研究期間において、経口抗がん剤であるS-1を繰り返し投与した場合、担がんモデルマウスにおいて、静脈投与したリポソームの移行性のみならず、封入した抗がん剤(オキサリプラチン)の腫瘍内移行性も向上されていることを定量的に明らかにした。この事から、S-1とリポソーム化オキサリプラチン併用投与時の相乗的な抗腫瘍効果の向上が単に異なる作用機序をもった抗がん剤を組み合わせたからではなく、リポソーム化オキサリプラチンの腫瘍移行性がS-1によって亢進されたからであることが明らかになった。また、S-1処置により腫瘍内でのリポソームの分布パターンが変化していることも把握できており、S-1LDM投与によって血流改善・微小血管密度などの腫瘍内微小環境が大きく変化している可能性が非常に高く、21年度はこれらの変化に関して精査する予定である。
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Research Products
(8 results)