2008 Fiscal Year Annual Research Report
NSAIDsの抗癌作用機構の解明とDDSを用いた創薬
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20015037
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
水島 徹 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (00264060)
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Keywords | NSAIDs / カルシウム / βカテニン |
Research Abstract |
最近我々は、NSAIDsが細胞内へのカルシウム流入依存的にクロージン4を誘導すること(Mima et al. Cancer Res 2005)、及びβカテニンの分解依存的にクロージン2の発現を抑制することを見出した。そこで他のクロージンに関してもNSAIDsにより誘導されるかをリアルタイムPCR法で調べた。さらに抗体が入手可能なものに関しては、ウェスタンブロット法によりタンパク質レベルでも発現変化を確認した。その結果、クロージン1、5、7が、NSAIDsにより誘導されることを見いだした。次にそれぞれのクロージンに関して、NSAIDsによる発現変化メカニズムを検討した。細胞内へのカルシウム流入依存的であるかは、BAPIA-AM(細胞内のカルシウムをキレートしその効果をなくす薬物)によりその発現変化が消失するかで検討した。βカテニンの分解依存的であるかは、活性型βカテニンの過剰発現によりその発現変化が消失するかで検討した。またCOX依存的であるかは、培地中にPGを加えることによりその発現変化が消失するかで検討した。その結果、これらの遺伝子発現変化は、βカテニンの分解依存的であることを見いだした。 我々はクロージン4の過剰発現により、癌細胞の浸潤性、運動性、足場非依存的な増殖が抑制されることを見出し、NSAIDsによるクロージン4誘導がNSAIDsの抗癌作用に寄与していることを見出した。そこで同様の解析を他のクロージンに関しても行い、NSAIDsによる各クロージンの発現変化が、癌細胞の浸潤性、運動性、足場非依存的な増殖にどのような影響を与えるかを検討している。
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