2008 Fiscal Year Annual Research Report
難治がんの克服を目標した発展型腫瘍新生血管標的化DDSに関する研究
Project/Area Number |
20015039
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
奥 直人 University of Shizuoka, 薬学部, 教授 (10167322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 知浩 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (00381731)
清水 広介 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (30423841)
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Keywords | 新生血管 / DDS / リポソーム / 標的化 / ターゲティング / 複標的化 / がん治療 / 血管新生 |
Research Abstract |
我々は、新規がん治療法として、これまでに腫瘍新生血管を標的として抗がん剤を送達する腫瘍新生血管傷害療法を確立してきた。本研究では、これまで単独でリポソーム表面に修飾してきた標的化ペプチドを組み合わせて修飾する"複標的化"という新規標的化戦略を提唱し、その有用性を検証した。まず、腫瘍新生血管内皮細胞のモデルとして増殖性のヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)を用い、蛍光標識した標的化リポソームの親和性を検討した。その結果、APRPGおよびGNGRGを修飾した複標的化リポソームは、APRPGあるいはGNGRGの一方のみを修飾した単標的化リポソームと比較し、有意に高い親和性を示した。そこで、抗がん剤ドキソルビシン(DOX)を内封したリポソームを用い、HUVECに対する細胞増殖抑制効果について検討を行ったところ、DOX内封複標的化リポソームはDOX内封単標的化リポソームと比較し、顕著に高い細胞増殖抑制効果を示した。次に、放射標識したリポソームを用い、担がんマウスにおける体内動態について検討した結果、各リポソーム間でがんへの集積量に変化は認められなかった。しかし蛍光標識リポソームを用いた腫瘍内局在観察を行った結果、ペプチド未修飾リポソームは腫瘍血管内皮細胞に局在せず、標的化リポソームは血管内皮細胞に局在し、複標的化リポソームは単標的化リポソームに比べより広範の血管内皮細胞に局在した。DOX内封複標的化リポソームの担がんマウスに対する治療効果について検討を行ったところ、DOX内封複標的化リポソームは最も優れた腫瘍増殖抑制効果および延命効果を示した。以上の結果から、複標的化リポソームの腫瘍新生血管傷害療法における有用性が示された。"複標的化"戦略は、アクティブターゲティングDDSの新戦略として展開が期待される。
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Research Products
(5 results)