2008 Fiscal Year Annual Research Report
中性子捕捉治療のための次世代DDS型ホウ素ナノカプセルの開発
Project/Area Number |
20015041
|
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
中村 浩之 Gakushuin University, 理学部, 教授 (30274434)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
潘 鉉承 学習院大学, 理学部, 助教 (60433710)
|
Keywords | リポソーム / DDS / 中性子捕捉療法 / ホウ素脂質 / ナノカプセル / 光線力学療法 |
Research Abstract |
本年度は主にホウ素ナノカプセルの生体内挙動を明らかにすることを重点に置き研究を進めた。まず、ホウ素ナノカプセルの細胞内取り込みと分布の時間変化追跡であるが、PKH蛍光脂質を用いてポストインサーション法にてホウ素ナノカプセルを蛍光ラベル化し、細胞レベルでの分布を調べた。その結果、細胞質にエンドサイトーシスにより取り込まれることを明らかにした。一方、申請者らは新たに蛍光物質結合型ホウ素脂質を開発し、これを用いてホウ素ナノカプセルへのポストインサーションを検討した結果、大腸がん移植マウスにおいて、腫瘍内に蛍光が見られたことから、生体内でのホウ素ナノカプセルの分布追跡および代謝追跡に有用であることが示唆された。さらに、申請者らは、高濃度ホウ素デリバリーのために、ナノカプセル内へのホウ素薬剤内封について検討するために、ホウ素薬剤の可視化法を新たに開発した。ホウ素薬剤にアルキン部位を導入することにより、蛍光標識アジドとのクリック反応を行うことで可視化することにした。その結果、細胞内でのホウ素クラスター含有アルキンとのクリック反応に初めて成功し、ホウ素薬剤の細胞内での可視化に成功した。そして、ホウ素薬剤が核内に集積することを明らかにした。また、ホウ素ナノカプセルのポルフィリン修飾法について、その基礎的研究を行った。プロトポルフィリンIX(PP9)に対して、ホウ素ナノカプセルに修飾できるよう長鎖炭素鎖の導入に成功した。さらに、PP9に対して、ホウ素薬剤の導入にも成功した。これらのポルフィリン薬剤をヒトがん細胞に曝露したのち、光照射を行ったところ、非常に高い殺細胞効果が見られた。これらのポルフィリン脂質を用いてリポソームへのポストインサーション法の開発に成功した。本研究成果は、光線力学療法(PDT)と中性子捕捉療法の複合治療の可能性を提唱するものである。
|