2008 Fiscal Year Annual Research Report
トランスポーターの発現・活性の制御と機能性SNPを基盤としたがん化学療法の戦略
Project/Area Number |
20015042
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
杉本 芳一 Keio University, 薬学部, 教授 (10179161)
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Keywords | ABC transporter / ABCG2 / BCRP / estrogen / MDRI / P-glycoprotein / ABCB1 / SNP |
Research Abstract |
1 estrogenにより、MCF-7などのヒト乳がん細胞のP-gp発現が低下することを見いたした。この発現抑制機構の解明のために、cDNAマイクロアレイ解析により抽出した4756遺伝子をもとに、機能分類、siRNA導入、shRNA発現ベクターの導入により絞り込みを行い、最終的にshRNA発現ベクターの導入によってP-gpの発現が著明に低下する安定細胞株を得られる2遺伝子を同定した。この2遺伝子は、ubiquitin-conjugating enzymeおよび脱リン酸化酵素であった。2マルチキナーゼ阻害薬であるsunitinibは、野生型BCRP発現細胞のmitoxantrone取り込み量を増大させ、mitoxantrone耐性を低下させた.これにより、sunitinibはBCRPによる薬剤排出を阻害すると考えられた。次に、BCRPの種々の変異体を導入した細胞のSN-38耐性に対するsunitinibの効果を調べたところ、100nMのsunitinib添加により、PA/BCRPWT、PA/Q141K、PA/R482S、PA/R482G、PA/H630EのSN-38に対する耐性度は半分以下に低下したが、PA/F431LのSN-38に対する耐性度は変化しなかった。これにより、SNP型BCRPであるBCRP(F431L)はsunitinibによって阻害されないことが示された。3BCRPの二量体形成機構を解明するため、BCRPの膜外領域に存在するCvs-592、Cvs-603、Cvs-608のうち1つ、2つ、又は3つ全てをSerに置換したmutant BCRPの発現細胞を作成し、mutantBCRPの二量体形成と機能について解析した。その結果、Cys-603、Cys-608の2つがBCRPのdimer形成に関与していることが示された。CvstriDlemutant発現細胞がSN-38およびmitoxantroneに耐性を示したことから、BCRPのcovalentなdimer形成は、トランスポーターの機能に必須ではないと結論された。また、このtriple mutant発現細胞は、BCRP阻害薬のFumitremorgin Cに抵抗性を示した。
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