2009 Fiscal Year Annual Research Report
テロメア・細胞老化システムを標的としたがん分子治療法の開発
Project/Area Number |
20015047
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
清宮 啓之 Japanese Foundation For Cancer Research, 癌化学療法センター分子生物治療研究部, 部長 (50280623)
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Keywords | がん / 分子標的治療 / テロメア / テロメラーゼ / 細胞分裂 / 染色体 / 抗がん剤 / ポリADP-リボシル化 |
Research Abstract |
1.細胞分裂異常に対するテロメア蛋白質の関与:ポリADP一リボシル化酵素(PARP)タンキラーゼ1は、テロメア蛋白質TRF1をテロメアから遊離させ、テロメラーゼによるテロメア伸長を促進する。分裂期キナーゼAurora-Aは、細胞分裂の進行に必須の役割を果たすが、その機能が過剰に充進すると細胞分裂に異常が起こり、発がんの契機となる四倍体細胞が生じる。我々は、タンキラーゼ1の過剰発現がTRF1のダウンレギュレーションを引き起こし、Aurora-Aによる細胞分裂異常を抑制することを見出した。これと一致し、TRF1ノックダウン細胞では、Aurora-A過剰発現による微小管-動原体捕捉の異常とそれに伴う細胞質分裂の失敗が回避された。以上より、TRF1はAurora-Aによる細胞分裂異常を媒介することが明らかとなった。2.テロメア伸長因子タンキラーゼ1の機能制御:タンキラーゼ1が自身のSAM領域を介して多量体化し、さらにANK領域を介して高分子複合体を形成することを見出した。同複合体を形成した細胞ではTRF1がテロメアから遊離せず、タンキラーゼ1が効率よく機能しないことが示された。以上より、タンキラーゼ1の機能は自己多量体化を介して調節される可能性が示唆された。この知見は、PARP阻害剤とは異なる、特異性の高いタンキラーゼ1阻害剤の開発に応用できるかもしれない。3.早老症責任遺伝子の発現と抗がん剤感受性:我々が構築したTelomere Fingerprint Databaseによる相関解析から、ウェルナー早老症候群(WS)責任遺伝子WRNおよびテロメア蛋白質POT1の発現がともに低いがん細胞は、微小管標的薬剤に高感受性の傾向を示すことを見出した。WS患者由来不死化細胞のPOT1をノックダウンすると微小管標的薬剤の効果が高まったが、この効果は正常Wm遺伝子の導入により緩和された。
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Research Products
(27 results)