2009 Fiscal Year Annual Research Report
活性型低分子量GTPaseの細胞内局在の網羅的定量解析技術の開発とその応用
Project/Area Number |
20016016
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐藤 孝哉 Kobe University, 医学研究科, 准教授 (20251655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 修司 神戸大学, 農学研究科, 助教 (50379400)
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Keywords | Rac1 / Rho / Rap1 / インスリン / 骨格筋 / 糖取り込み / 血管形成 / 中心体 |
Research Abstract |
本年度は、これまでに我々が確立した内在性Rac1およびRap1の活性化の可視化技術を応用して、これらの分子が担う生理機能の解析を推進した。まず、昨年度に引き続き、骨格筋細胞におけるインスリン刺激に応答した糖取り込み誘導のシグナル伝達系におけるRac1の機能解析を行った。具体的には、骨格筋特異的rac1ノックアウトマウスとコントロールマウスにおいて、蛍光標識したGLUT4レポーターを用いたインスリン応答性のアッセイを行った。その結果、骨格筋特異的rac1ノックアウトマウスにおいては、インスリンを尾静注することによって誘導されるGLUT4の細胞膜移行が完全に抑制されたが、活性型変異体Rac1による移行は阻害されなかった。本年度は別の種類の(遺伝子型が異なる)コントロールマウスにおいてもインスリン応答性に異常のないことを確認した。これらの結果より、インスリン刺激した際のマウス骨格筋での糖取込みの誘導において、Rac1の活性化が必要十分であることが強く示唆された。また、rac1ノックアウトマウスでは、インスリン応答性のAktやAS160のリン酸化には異常は認められず、この経路はRac1を介する系とは独立であることが示唆された。さらに、Rac1の活性化部位の可視化技術をマウスの骨格筋に応用し、インスリン応答性のRac1活性化部位を同定する手法の開発も進めた。一方、RhoAに対するGEFであるARHGEF10の細胞周期調節系における役割の検討も進めた。siRNAによってこの分子をノックダウンすると、中心体の複製に異常が生じ、分裂装置が多極化することが明らかとなった。したがって、ARHGEF10は、RhoAを介して、中心体の過剰な複製を抑制していると考えられる。
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Research Products
(9 results)