2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞が非対称性を獲得する原理の分子レベルおよび数理・数式レベルでのモデル構築
Project/Area Number |
20016017
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
稲垣 直之 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 准教授 (20223216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥山 道則 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 研究員 (90457151)
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Keywords | 軸索 / 樹状突起 / 極性 / Shootinl / 形態形成 / 対称性破壊 / 神経細胞 / システムズバイオロジー |
Research Abstract |
組織や細胞は発生・分化に伴って非対称性(極性)を獲得して固有の形態を形づくる。生体がどの様にして非対称性を獲得するかという問題は重要な研究テーマである。我々は、これまでの大規模なプロテオーム解析により、神経極性形成タンパク質Shootinlを見出した。本研究では、Shootinlの実験計測データを条件とした自立的に極性を獲得することができるモデルニューロンの構築を行う。そして、数理解析の結果を実験科学にフィードバックして研究を推進するアプローチを通して、細胞が非対称性を獲得するしくみの原理を分子レベルおよび数理・数式レベルで解き明かすことを目指す。 本年度は、これまでに得られたShootinlの詳細な定量的データ、すなわち(1)神経極性形成に伴うShootinlの発現上昇、(2)突起先端におけるShootinlの濃縮に伴う神経突起伸長、(3)Shootinlの細胞体から神経突起先端への能動輸送、(4)Shootinlの神経細胞内での拡散に関して、生物学的に適切な数式を導入し、データのパラメーターフィッティングを行った。その結果、得られた複数の微分方程式は、すべてShootinlの細胞内動態を定量的によく再現した。さらにこれらの微分方程式をモデルニューロンにおいて統合することによって、自発的に極性を獲得する完成型モデルニューロンを構築に成功した。このモデルニユーロンのパラメータは、実質的に実験定量データのみから得られており、また、モデルニューロンは培養海馬神経細胞と極めてよく似た挙動を示した。以上の研究成果に加えて、完成型モデルニューロンおよび培養ニューロンを用いて様々な実験パラメータに変動を与えて、極性形成過程への影響を調べた。その結果、これまでか総数16の培養ニューロンとモデルニューロンの挙動の一致を確認した。このことから、モデルニューロンが概ね正しく神経極性形成を再現することが示唆された。
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