2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞分化における高次遺伝子発現制御機構ネットワークの解明
Project/Area Number |
20016020
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大川 恭行 Kyushu University, 医学研究院, 特任准教授 (80448430)
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Keywords | エピジェネティクス / ゲノム / ナノバイオ / 発生分化 |
Research Abstract |
私たちはこれまでに、骨格筋分化をモデル系として、分化時に発現が上昇する遺伝子の解析を組織発生及び株化細胞レベルで、行ってきた。特に、クロマチン構造変換による遺伝子発現制御に着目して研究を進めている。種々の抗体作製を行い、ゲノム上でのクロマチンリモデリング因子の遺伝子発現前後の挙動をクロマチン免疫沈降法やクロマチン干渉法を用いて分析してきた結果、以下のことが明らかになった。(1)同一遺伝子であっても分化のタイミングにより、プロモーター・エンハンサー上にリクルートされる転写因子が変化していくこと(2)この際、クロマチンリモデリング因子、ヒストン修飾因子が様々なタイミングでゲノム領域に働きかけること(3)そして、分化時に、クロマチン構造制御段階で発現している遺伝子が高次構造を形成していること。しかしながら、骨格筋分化において発現が上昇する遺伝子に全てのマーカーを確認することは不可能であり、局所的ダイナミクスの同定にはつながったもののゲノムワイドな解析系が弱く、分化全体を複数の遺伝子発現をとおして 俯瞰的に解析するには至っていない。この問題は現在の分化現象におけるクロマチン解析の限界点でもあり、分子メカニズムを追求するとなると解析する遺伝子が絞らざるを得ず、結果的に分化現象を一部のマーカーのみで判断せざるをえないという矛盾に突き当たってしまう。均一な集団を用いて確度の高いデータを得るために、再クローニングを行いより高い効率で骨格筋分化するラインへ純化したC2C12を用いて解析を行ってきた。サンプルを従来法の3C及びChIPで検証し、安定した解析結果を提示するサンプルについて3C by sequenceによるクラスタリング領域のマッピング、及びChIP-Seqによる転写因子、コファクターのマッピングを行い、クラスタリングの時間的、空間的変化の検証を進めている。特に当初予定していた通常のシークエンサーから大規模シークエンサーを取り入れたことにより、飛躍的にそのマッピングの効率をあげることができた。
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