2008 Fiscal Year Annual Research Report
生命システムの動的理解を可能にする分子性プローブの開発
Project/Area Number |
20016024
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
古田 寿昭 Toho University, 理学部, 教授 (90231571)
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Keywords | ナノバイオ / 光スイッチ / 合成化学 / 生体分子 / 可視化 / ケージド化合物 / 遺伝子の機能制御 |
Research Abstract |
ケージドDNAを調製するには2つの方法が考えられる。全長DNAを適切なケージング試薬でランダムに修飾する方法と, 化学合成したケージドプライマーから酵素的に伸長して全長のケージドDNAにする方法である。このうち, ランダム修飾による方法は, 操作が簡単で試薬が手に入れば誰でも利用できる点と, 適用できるDNAの配列に制限がないと考えられる点で優れている。しかし, これまでに報告されているランダム修飾によるケージドDNAは, 光照射の前後で数倍程度の発現誘導の上昇しか実現できていなかった。 そこで, EGFPおよびルシフェラーゼ発現プラスミドをモデル化合物に選び, Bhc- diazoによるDNAのケージングと, 光照射によるアンケージング条件の最適化をはかった。その結果, SV40 oriを持つルシフェラーゼ発現ベクターpRL- SV40をBhc- diazoでケージングし, COS-7細胞に導入後にUV光を照射すると, 未照射細胞に比べて100倍以上の発現上昇が実現できた。また, 発現の絶対量も未修飾のプラスミドによる発現量の数%程度まで増加できることを確認した。 今回開発したSV40 oriを持つケージドプラスミドとSV40 largeT抗原発現細胞の組み合わせによる方法を用いると, 光照射によって最高で300倍以上の発現効率の上昇が達成できることも明らかにした。これは, 従来の方法が, ケージングによってプラスミドDNAから誤NAへの転写を光制御するのに対し, large T抗原発現細胞では, 1細胞内のコピー数が複製により飛躍的に上昇したことによる。すなわち, ランダム修飾によるケージングでDNAの複製を光制御可能なことを意味している。
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Research Products
(7 results)