2009 Fiscal Year Annual Research Report
生命システムの動的理解を可能にする分子性プローブの開発
Project/Area Number |
20016024
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
古田 寿昭 Toho University, 理学部, 教授 (90231571)
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Keywords | ケージド化合物 / 遺伝子 / 光スイッチ / 細胞内シグナル伝達 / 合成化学 / 生体分子 |
Research Abstract |
細胞内では共通のシグナル伝達のストラテジーを用いているにもかかわらず,刺激が異なれば,それによって制御される細胞機能も異なる。これは,シグナリングに関与する分子の時空間動態の偏りに起因すると考えられるが,証明するのは容易ではない。ケージド化合物への光照射によって実現できる局所刺激は,生理的条件をできるだけ再現した刺激法だといえる。これを,実時間イメージングによるアプローチと併用すれば,従来の方法では得られない情報が得られる解析法になる。本年度は微小管の重合を安定化する分子,脂質性シグナル分子,セカンドメッセンジャー類のケージド化合物を合成した。このうち,ケージドジアシルグリセロールとケージドインヒビターペプチド用いると,哺乳動物培養細胞内のプロテインキナーゼの細胞内局在を光制御可能であることを明らかにした。次に,狙った一細胞内のキナーゼ活性を光制御可能か検討した。その結果,ケージドジアシルグリセロール(Bhcmoc-diC8)をバルクに加えた培養細胞のうち,405nmレーザー光を照射した近傍の細胞だけに,εPKCの細胞膜へのトランスロケーションが観察された。この化合物は,一細胞内の局所のみにジアシルグリセロールを生成させることも可能で,T-細胞の細胞極性形成にジアシルグリセロールの局所濃度の上昇が必要かつ十分であることを証明する実験に用いることができた。また,新規ケージドNO分子が2光子励起でNOを発生できることと,その時の2光子励起効率を明らかにした。
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Research Products
(12 results)