2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20017009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野中 勝 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (40115259)
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Keywords | ゲノム / 免疫学 / 進化 / 遺伝子 / MHC |
Research Abstract |
ルソンメダカ、インドメダカのMHCクラスI領域の完全解読: ルソンメダカは2つのBACクローンから、193, 474bpの連続配列が得られ、psMB8遺伝子はHd-rR型であった。インドメダカについては、Hd-rR型のPSMB8遺伝子を含む-つの8AC配列、141, 664bpと、HM型のPSMB8遺伝子を含む2つのBACクローンからなる340.769bpの連続配列を決定した。これまでに知られていたメダカの2つの配列と比較した結果、PSMBIO.PSMB8及びいくつかのclass IA遺伝子を含む領域は配列間で大きな違いを示し、MHC領域特有の進化をしているが、それ以外の領域は比較的高い保存性を保ち、通常の非MHC領域と同様の進化をしていることが示唆された。また、PSMB10, PSMB8遺伝子は種を超えた二型性を示すのに対して、class IA遺伝子は系統樹解析で同種の遺伝子がクラスターを形成し、それぞれの種内で均一化が行われていることが示唆された。以上の結果はメダカ属のMHCクラスI領域は3つの亜領域に分かれ、それぞれが異なる淘汰圧を受けていることを示した。 メダカ野生集団におけるMHCクラスI領域多型の解析: メダカ野生集団における多型性を明らかにするために、4つ存在するメダカの地域集団のうち北日本集団、南日本集団、中国西韓集団に属する10地点からの1245個体のPSMB8,PSMBIO遺伝子のタイピングを行った。得られた全ての配列はHd-rR型かHNI型のいずれかに明確に分類され、メダカのこれらの遺伝子は多型性ではなく、二型性を示すことが明らかになった。また両遺伝子の型は常に-致してハプロタイプを形成していた。更にどの地域集団においてもHNI型の頻度はO-27%と低く、これら2つの遺伝子を含むハプロタイプの二型性はHd-rR型に偏った形のbalancing selectionによって保たれていることが示された。その原因については、超優性や頻度依存性選択よりも時間、場所により変化する淘汰圧による可能性が強いことが示唆された。
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