2009 Fiscal Year Annual Research Report
シンビオジェネシスの基礎となるプロモーター獲得原理の解明
Project/Area Number |
20017015
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小保方 潤一 Nagoya University, 遺伝子実験施設, 招へい教員 (50185667)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 義治 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (50301784)
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Keywords | シンビオジェネシス / プロモーター獲得 / クロマチンリモデリング / エピゲノム / H2A.Z / H3K4me3 / 植物ゲノム / ChIP-on-chip |
Research Abstract |
シシンビオジェネシスの過程では、共生者ゲノムにコードされている遺伝子群が、次第に宿主核に転移し、そこで新たなプロモーターを獲得する。本研究課題では、「植物の核ゲノムに転移したコード領域は、どのようなメカニズムで新しいプロモーターを獲得するのか?」という問題に焦点を絞って研究を進めてきたが、本年度は、植物核のエピゲノム状態に着目し、ChIP-on-chip法による解析を進めたところ、次のような新しい知見が明らかになった。 (1) 植物核のコアプロモーター領域に特徴的なクロマチンリモデリングを明らかにした。コアプロモーター領域は、修飾ヒストンであるH3K4me3とヒストンH2AのバリアントであるH2A.Zをともにもつ二つの特殊なヌクレオソームの間隙に出現することがわかった。 (2) この場合、下流側のヌクレオソームの位置は、コード領域の5'末端付近に対応していた。 (3) 植物の核ゲノムに新規挿入されたコード領域がプロモーターを獲得する様子を、上記のヌクレオソーム構造を手掛かりに解析したところ、少なくとも三つの異なる獲得様式のあることが明らかになった。それらを、それぞれ、「プロモーター領域新生型」「既存プロモーター捕獲型」「両者の混合型」と名付けた。 (4) このうち、「プロモーター領域新生型」では、それまで全くプロモーター構造の見られなかったゲノム領域に、新規のコード領域が挿入されることによって新たなプロモーター構造が形成された。これは、プロモーターの新生現象を明確に捉えた初めての解析例である (5) プロモーター領域が新生されたメカニズムについて解析を進めたところ、コード領域の開始コドンが関与していることが示唆された。
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