2008 Fiscal Year Annual Research Report
比較ゲノム情報に基づくアポトーシス実行因子の普遍性と多様性の解析
Project/Area Number |
20017016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
酒巻 和弘 Kyoto University, 生命科学研究科, 准教授 (20271017)
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Keywords | カスパーゼ / 細胞死 |
Research Abstract |
カスパーゼ8・カスパーゼ10・cFLIPの各遺伝子の単離、ならびにゲノム構造について脊椎動物に焦点を当てて研究を進めた結果、軟骨魚エイからカスパーゼ8を特定することができ、他種のカスパーゼ8と同様なタンパク質構造を有していることを明らかにした。また、カスパーゼ18遺伝子を含めた4遺伝子について、エクソンーイントロン構造が脊椎動物間で保存されていることを認めた。脊索動物(ホヤ)には、カスパーゼ8遺伝子のみしか存在しないことから、これら4遺伝子が脊椎動物に進化後に遺伝子重複によって生じたといえる。 次に、生理機能が不明なカスパーゼ18について、ヒト培養細胞に発現させてアポトーシス誘導能を調べたところ、ヒトのカスパーゼ8と同等な活性を有していることが判明した。カスパーゼ18も細胞死に関わる因子であることが十分考えられた。興味深いことに、カスパーゼ18遺伝子は両生類から哺乳類のカモノハシやオポッサムのゲノム中には存在するが、真獣類のゲノムには存在しない。脊椎動物に進化後に派生したカスパーゼ18遺伝子は、真獣類の出現時にゲノムより欠失したと考えられる。 またカスパーゼ8の普遍的な機能、並びにカスパーゼ8類似遺伝子の多様性や特異性を理解する上で、魚類は鍵となる生物である。そのため、カスパーゼ8遺伝子変異メダカを人為的に作製し、その表現型を解析することを新たに研究課題として付け加えた。本年度は、カスパーゼ8遺伝子上に変異を起こした個体をtilling法により同定することを試み、これまでに遺伝子上に変異を起こした幾つかのゲノムクローンを見つけた。現在、この遺伝子変異を有する個体より採取した精子を使って、変異メダカの作製並びに系統化を進めている段階である。
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