2009 Fiscal Year Annual Research Report
青枯病菌の宿主域を決定する因子をゲノムの比較により解き明かす
Project/Area Number |
20017020
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
大西 浩平 Kochi University, 教育研究部・自然科学系, 教授 (50211800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曳地 康史 高知大学, 教育研究部自然科学系, 教授 (70291507)
木場 章範 高知大学, 教育研究部自然科学系, 准教授 (50343314)
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Keywords | ゲノム / 微生物 / 病理学 / 遺伝子 |
Research Abstract |
1. タバコに病気を起こして枯らせてしまうOE1-1株とタバコにHRを誘発する株として8266株のドラフトゲノム解析を行った。GMI1000株(タバコに非病原性)に対してBLAST解析を行い、遺伝子配置について調べた。 2. GMI1000株で74個あると予想されているエフェクター遺伝子について、ドラフト解析を元にOE1-1株、8266株の両方から抽出を行った。その結果14個のエフェクター遺伝子において、3株間で何らかの違いがみられた。こうしたエフェクターは、病原細菌の分離された地理的な状況を反映している可能性やタバコに対する病原性を支配している可能性がある。また、日本株にのみ見られるエフェクター遺伝子がひとつ存在した。 3. 2で抽出された候補遺伝子のうち、2つの遺伝子RSp0914、RSc1356はLRR-GALA family type III effector proteinに分類される。青枯病菌において7種類のLRR-GALA family type III effector Droteinが知られており、すべてを欠損させた変異株は宿主植物に対する病原性が弱まることが報告されている。そこでまず、これらの7種類のLRR-GALA family type III effector protein遺伝子についてOE1-1株と8266株の間での入れ替え実験を行うこととした。そのために、OE1-1株において5それぞれの遺伝子の欠失変異株を作製し、そこにOE1-1株もしくは8266株の対応する遺伝子を染色体上の特定の位置に挿入した株を作製し、タバコに対する病原性を調べるという手法をとった。そのために、まず、それぞれの遣伝子の欠失変異株を作製し、その病原性を調べた。GMI1000株で見られたように、ほとんどすべての1gala遺伝子欠損株は野生株OE1-1株と同等の病原性を示した。今後は、いずれか1種類のgala遺伝子だけが発現する変異株およびすべてのgala遺伝子欠損株を構築し、それら変異株の病原性について明らかにする。 4. gala3欠損株はタバコに対して野生株と同等の病原性を示す。エフェクターの入れ替え実験として、この欠損株に8266株のgala3遺伝子を図5の手法を用いて導入した。タバコ葉に接種したところ、OE1-1野生株と同様に病原性を示し、HRは示さなかった。gala3遺伝子は、OE1-1株と8266株の間でよく保存されていることからタバコに対するHR要因とはならないとの予想とよく一致している。
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Research Products
(6 results)