2008 Fiscal Year Annual Research Report
比較ゲノム解析に基づくヒトMHC領域の進化形成過程の解明
Project/Area Number |
20017023
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
椎名 隆 Tokai University, 医学部, 講師 (00317744)
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Keywords | MHC / 比較ゲノム解析 / 進化 / シークエンシング / ゲノム多様性 |
Research Abstract |
本研究課題では、多種におけるMHC領域のゲノム配列を決定すること、得られたゲノム配列と既知のゲノム配列情報を含めて、比較ゲノム解析に必要な情報を抽出することにより、現在のヒトのMHC領域に至るまでの進化形成の過程を明確にすることを目的とする。本年度における成果を以下に記す。 1、オキゴンドウMHC領域の遺伝子マッピングから、134個の遺伝子が他のほ乳類と同様に同定された。ところがMHCクラスI遺伝子において、ヒトで偽遺伝子を含めて18個が位置するが、オキゴンドウでは6個のみが同定された。さらにヒトのMHC領域近傍に位置する嗅覚レセプター遺伝子群を含む約580kbがオキゴンドウでは認められなかったことから、鯨類は水中生活に適応していく過程で嗅覚が退化したためこれら遺伝子が欠失したものと考えられた。本研究で得られたゲノム情報は、感染症やPOPsなどの環境要因に対する感受性のヒトとの比較に大いに資するものである。 2、ニワトリMHC領域全長59kbの塩基配列を14種類の主要MHCハプロタイプを用いて決定、比較することでSNP、Indel、リピート配列およびコピー数多型などの多型情報を整理した。その結果、B領域の遺伝子構成はハプロタイプ間で保存されていた。またMHC領域のゲノム多様性は交叉および遺伝子変換により形成され、その時期は家禽化以前であると推測された。現在、この多型情報を用いてマレック病責任遺伝子の絞り込みを進めている。 3、原始的な形態・運動能力を有するなど板鰓類で比較的古い形態を有するラブカに着目し、そのBACライブラリーとcDNAライブラリーの作製に成功した。獲得免疫系ゲノムを明らかにするためにそれらライブラリーのPCRスクリーニング系の構築を進めている。
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