2008 Fiscal Year Annual Research Report
薬物動態・薬効の変動に関与する薬物トランスポーターの遺伝子多型の包括的実証研究
Project/Area Number |
20018006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉山 雄一 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 教授 (80090471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠原 洋之 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (00302612)
前田 和哉 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (00345258)
家入 一郎 九州大学, 大学院・薬学研究科, 准教授 (60253473)
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Keywords | ゲノム / トランスポーター / 薬剤反応性 / 薬物動態 / オルメサルタン / プラバスタチン / 生理学的薬物速度論モデル |
Research Abstract |
本研究では、薬物動態を支配する因子として注目を集めている薬物トランスポーターの遺伝子多型と薬物の体内動態・薬効・副作用との関連を明らかにするための臨床試験、ならびにin vitro実験の結果に基づくin vivo薬物動態の変動の定量的な予測を行うための方法論を構築することを目的として研究を進めている。本年度は、トランスポーター基質薬物であるpravastatinをモデル化合物として取り上げ、in vitro実験の結果に基づきヒトにおける薬物動態を予測できる数理モデルの構築およびシミュレーションを実施した。その結果、in vitro実験の結果得られた輸送クリアランスに一定のscaling factorを乗じることにより、ラットにおける投与量依存的な薬物動態パラメータの飽和性を説明することが出来た。さらに、ヒトにおいても同様のin vitro実験の結果に基づき数理モデルを構築したところ、ヒトにおける経口投与・静脈内投与後のpravastatinの血中濃度推移を良好に説明できることが実証された。このモデルを利用して、肝取り込み・排泄トランスポーターの機能を変動させたときのpravastatinの肝臓内濃度(薬効に関与)および血漿中濃度(副作用に関与)の予測を試みたところ、取り込み過程の機能低下は、血漿中濃度の上昇につながるが肝臓内濃度は大きく変化せず、一方、排泄過程の機能低下は、肝臓中濃度の上昇を引き起こすが、血漿中濃度は変化しないことがシミュレーションにより示された。また、olmesartanとpravastatinの単剤投与時における血中濃度と同時に併用投与したときの血中濃度を比較したところ、両薬剤とも血中濃度推移には影響が見られなかったことから、これら薬剤は臨床における使用において、薬物動態学的な相互作用はおきないことが実証された。また、olmesartanについては、OATP1B1*15アレル保持者における血中濃度は、*lbアレル保持者と比較して血漿中濃度が高い傾向が示された。
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