2008 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム機能解析に基づくパスウエイデザインによる有用希少イノシトール類の生産
Project/Area Number |
20018016
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉田 健一 Kobe University, 農学研究科, 准教授 (20230732)
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Keywords | イノシトール / 枯草菌 / バイオコンバージョン / 糖尿病 / アルツハイマー病 |
Research Abstract |
パスウエイデザインを施した枯草菌によるD-chiro-inositolのバイオコンバージョン生産は、リン酸欠乏ストレスを引き起こす。本年度はこのストレスと細胞内のNAD+/NADHバランス変動の相関を検討したが、NAD+/NADHバランスはD-chiro-inositolのバイオコンバージョンの効率には影響を与えるがストレス発生には影響しないことが判明した。この結果はD-chiro-inositolの生産効率向上には役立つが、リン酸欠乏ストレス発生の謎については何等ヒントを与えず、この解明については来年度以降の検討課題として残されることになった。また、より多く原料を取り込み、同時に産物を速やかに排出するような高ターンオーバー能力の付与を目指して、イノシトール・トランスポーター(既に2種同定済み)の機能解明に取り組んだが、このために必須となる放射標識D-chiro-inositolの購入が不可能となったため、当初想定していなかった当該化合物の合成生産を自ら行うことを余儀なくされた。従って、その合成に手間取ってしまったため、未だ実の解析は途上である。一方、専用HPLCシステムの導入が功を奏し、D-chiro-inositol生産の副産物として生じるscyllo-inositolを与える経路の解明に成功することができた。この経路に関与する酵素は2つありIolXとIolWと命名された。これらは、それぞれ独立してscyllo-inositol脱水素酵素をコードしており、前者はNADを後者はNADPを補酵素とすることも判明した。この経路はD-chiro-inositol生産の立場からすれば遮断すべきであり、選択的に活用できればscyllo-inositol生産を可能にするという別観点から有益である。
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Research Products
(4 results)