2008 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌ゲノム情報を活用したシステインの代謝制御機構の解明と発酵生産への応用
Project/Area Number |
20018018
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高木 博史 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 教授 (50275088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大津 厳生 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエシス研究科, 助教 (60395655)
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Keywords | ゲノム情報 / システイン発酵 / スルホシステイン |
Research Abstract |
システイン(Cys)によって大腸菌の生育が阻害されることを利用し、大腸菌非必須遺伝子ライブラリーKeio collection(約3,985×2クローン)から、Cys感受性または耐性菌をスクリーニングし、Cys排出に関与する遺伝子を探索した。その結果、野生株と比較してCys感受性を示す24の候補株を取得した。その中から外膜のポーリンであるTolCの遺伝子欠損(ΔtolC)株は、特に明確で強いCys感受性を示した。一方、ΔtolC株にプラスミドでtolC遺伝子を導入すると、得られた形質転換体は野生株並みにCys感受性を相補できた。このことから、TolCタンパク質がCys耐性に関与していることが明らかとなった。 大腸菌におけるCysの排出に関しては、これまでにYdeD,YfiK,CydDCおよびBcrなどの内膜の因子が知られている。通常、アミノ酸の排出系は内膜の因子であり、その弾化によって目的のアミノ酸の排出が促進される。現状では、Cysを含むアミノ酸の排出促進(アミノ酸発酵)には内膜の排出因子を強化する手法が一般的であり、外膜バリアの透過に必要な因子は重要視されなかったため、Cysの排出にTolCなどの外膜因子が必要であるかどうかは不明であった。そこで、単独でのCys排出能が知られている内膜因子YdeDとTblCとの組み合わせによるCys生産性への効果を調べた。その結果、Cys生産のモデル菌株にYdeDを過剰発現させた場合に比べ、TolCとYdeDの両方を過剰発現させると、より短時間で多くのCys(約3倍)を細胞外に分泌生)することができた。 さらに、これまでペリプラズム内のタンパク質でCys排出に関与するものは知られていなかったが、今回のスクリーニングにより、その遺伝子を破壊するとCys感受性を示す複数のペリプラズム内タンパク質を取得することができた。
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Research Products
(8 results)