2008 Fiscal Year Annual Research Report
逆転写酵素遺伝子を含むレトロンによる病原性発現調節とゲノム多様性との関係
Project/Area Number |
20018019
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
島本 整 Hiroshima University, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (90187443)
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Keywords | 逆転写酵素 / レトロン / コレラ菌 / Vibrio mimicus / 病原性 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
本年度は, 逆転写酵素遺伝子を含むレトロンと細菌の病原性発現調節との関係を明らかにする基礎として以下の研究を行った。 (1) 種々の病原細菌よりレトロンの単離・同定 コレラ菌の類縁菌であるVibrio mimicusより新たなレトロンを単離し, 解析を行った。V. mimicus CS30株由のレトロン-Vm85は, 遺伝子構成や逆転写酵素産物であるmsDNA-Vm85の塩基配列・推定二次構造がSalmonella由来のレトロン-St85, msDNA-St85と似てしいることが明らかになった。 (2) 逆転写酵素遺伝子欠損株の作製と関連遺伝子群の網羅的発現解析 レトロン及びmsDNAの機能解析を目的としてレトロン-Vc95を保有するO139コレラ菌(V. cholerae O139)野生株(MDO-6), ret遺伝子欠損変異株, ret遺伝子相補株, msDNA大量産生株の4株を用いて, マイクロアレイによる遺伝子発現の網羅的な比較解析を行った。その結果, コレラ菌のToxRS-ToxT発現制御系による調節を受ける複数の病原性遺伝子の発現が影響を受けていることが明らかとなった。 (3) カイコを利用した逆転写酵素遺伝子欠損株の病原性解析 上述のコレラ菌4株をそれぞれカイコの血リンパと腸管に接種し, 病原性の比較を行った。その結果, いずれもカイコに対する病原性の強さは, msDNA大量産生株>野生株>ret遺伝子相補株>ret遺伝子欠損変異株, の順となり, msDNA産生量に対応していることが明らかとなった。 (4) 薬剤耐性菌における薬剤耐性遺伝子を含む可動性遺伝因子の解析 エジプトにおける下痢症の子牛由来の大腸菌とチーズ由来の腸内細菌について薬剤耐性遺伝子の解析を行った。いずれの分離株からも逆転写酵素と薬剤耐性遺伝子カセットの関与が示唆されているクラス1とクラス2のインテグロンが検出された。
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Research Products
(9 results)