2008 Fiscal Year Annual Research Report
ローカスおよびゲノムワイド関連解析による統合失調症の分子基盤の解明
Project/Area Number |
20018021
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
服巻 保幸 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 教授 (90128083)
|
Keywords | 統合失調症 / 関連解析 / SNP / ハプロタイプ / マイクロサテライト / グルタミン酸受容体 / グルタミン酸代謝 / 遺伝子改変マウス |
Research Abstract |
(1) ローカスワイド関連解析 : グルタミン代謝遺伝子群のGAD2およびGLULについて、連鎖不平衡を考慮し選択したSNPを用いて関連解析を行った。単点でもハプロタイプ解析でも関連は見いだせなかった。またこれらのグルタミン酸代謝関連遺伝子と、6個のグルタミン酸受容体遺伝子GRIA4、GRIN2D、GRIK3、GRIK4、GRIK5、GRM3との遺伝子間相互作用の統合失調症発症への関与をMDR(multifactor dimensionality reduction method)法で解析したが、有意な相互作用は見られなかった。 (2) ゲノムワイド関連解析 : 3段階からなる全スクリーニング終了後、各スクリーニング間で有意差の見られるアレルの再現性の確認等を行い59マーカーを選択した。これらのマーカーを中心に200kbの領域におけるMAF>0.1,r^2>0.8のTagSNPを合計1,564個選びタイピングを行った。その結果167個のSNPに有意差が認められた。複数の検定で有意差がみられる31個のSNPについて、スクリーニングサンプルとは独立の約2,400ペアのサンプルによる確認のための関連解析を行ったところ1個のSNPに有意差が認められた。 (3) 個体を用いた機能解析 : 先に関連を報告し作出しだGluR4ノックアウトマウスのC57BL/6マウスへの戻し交配系統を用いて行動解析を行った。その結果、統合失調症のエンドフェノタイプであるPrepulse inhibition(PPI)の障害が見られた。また変異型マウスは野生型マウスより早いタイムコースでNMDA型受容体の選択的人工アンタゴニストMK-801による影響があらわれ、MK-801に対する感受性が増大していることがわかった。以上からGRIA4が統合失調症の病態の一端を担っている可能性が考えられた。
|