2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト遺伝子ノックアウトシステムの効率化と疾患遺伝子機能解析への応用
Project/Area Number |
20018022
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
足立 典隆 Yokohama City University, 生命ナノシステム科学研究科, 准教授 (30264675)
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Keywords | ヒト遺伝子 / ノックアウト / 逆遺伝学的解析 / DNA鎖切断修復 / ジーンターゲティング |
Research Abstract |
DNA鎖切断修復経路の異常や欠損はさまざまな遺伝病やがんと密接に関連している.我々は最近,ヒトpre-B由来リンパ球細胞株Nalm-6を用いて,遺伝子ノックアウト細胞を効率良く取得できるシステムの開発に成功した.そこで本研究では,DNA鎖切断修復に関わるヒト遺伝子について系統的に遺伝子ノックアウトを行い,得られた変異細胞株の表現型解析を行った.特に本研究では,遺伝子間あるいは経路間の相互作用の解析を目的として,二重変異株の作製と解析を進め,主に以下の成果を得た. ・NHEJ欠損細胞は,エトポシドなどのトポイソメラーゼII阻害剤に高感受性を示す一方,カンプトテシン(トポイソメラーゼI阻害剤)やParp阻害剤に対しては耐性を示す. ・ヒト細胞でNHEJを欠損させるとジーンターゲティング効率の上昇がみられる. ・TDP1やAPTX(ともに脊髄小脳失調症の原因遺伝子)を欠損した細胞は,ブレオマイシンに対して高感受性を示す. ・DNA ligaseIVとDNAポリメラーゼβは,DNA修復において部分的にオーバーラップした機能をもつ. 一方,ヒト細胞には複数のランダムインテグレーション機構が存在しており,ターゲティングベクターと非ターゲティングベクターとでインテグレーションの機構が異なっている可能性が高いことがわかったため,ベクターの構造,特に相同領域中の反復配列がインテグレーション反応に及ぼす影響を詳細に解析した.この成果は,今後の遺伝子ノックアウト研究に重要な示唆を与えると期待される.
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