2008 Fiscal Year Annual Research Report
興奮性ニューロンと抑制性ニューロンとを識別するトランスジェニック動物の開発
Project/Area Number |
20019010
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
柳川 右千夫 Gunma University, 大学院・医学系研究科, 教授 (90202366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿崎 利和 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (50375531)
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Keywords | 抑制性ニューロン / トランスジェニックマウス / 蛍光蛋白質 / 系統 / 発現 / ノックインマウス |
Research Abstract |
脳は、興奮性と抑制性のニューロンで構成される神経ネットワークの集まりからできている。しかしながら、興奮性ニューロンと抑制性ニューロンの両者ともin vitroおよびin vivoで正確に同定することは一般に困難である。抑制性ニューロンを黄色蛍光蛋白質、Venusで標識したトランスジェニックマウス(VGAT-Venusマウス)4系統(系統04、29、39および49)を樹立した。GABAニューロンに特異的に緑色蛍光蛋白質が発現するGAD67-GFPノックインマウスとVGAT-Venusマウスとについて、脳における蛍光蛋白質の発現を比較解析し、VGAT-Venusマウスの有用性について検討した。VGAT-Venusマウスで繁殖が順調な系統04、39および49の3系統とGAD67-GFPノックインマウスの前脳における蛍光蛋白質の発現について、抗GFP抗体を用いたWestern法で検討した。その結果、系統39の蛍光蛋白質発現量は系統04と系統49よりも高く、GAD67-GFPノックインマウスより5-7倍高かった。一方、系統39とGAD67-GFPノックインマウスの前脳における蛍光強度について分光蛍光光度計を用いて検討した結果、系統39はGAD67-GFPノックインマウスよりはるかに高い蛍光強度を示した。以上の結果は、系統39はGAD67-GFPノックインマウスよりも蛍光蛋白質の発現量が多く、蛍光シグナルが強いことを示している。GAD67-GFPノックインマウスではGAD67遺伝子破壊のため、特に幼若期の脳内G佃A含量が減少する欠点がある。VGAT-Venusマウス系統39の脳内GAD67, GAD65, VGATの各発現量は野生型マウスと同等であった。以上の結果は、VGAT-Venusマウス系統39は幼若期の神経回路発達や可塑性の研究に適していることを示唆する。
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