2008 Fiscal Year Annual Research Report
狂犬病ウイルスを用いた大脳視覚野背側腹側経路の機能連関の解剖学的解明に関する研究
Project/Area Number |
20019011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
澤村 裕正 The University of Tokyo, 医学部・附属病院, 特任助教 (70444081)
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Keywords | 狂犬病ウイルス / 大脳視覚野 / 霊長類 / 大脳皮質機能連関 |
Research Abstract |
2頭のマカクサルに固視課題を習熟させた後、背側視覚経路のMT領域(middle temporalarea)に特異的な視覚刺激を用いて領域の同定、視野の範囲を調べたのち狂犬病ウイルス、蛍光色素注入を周辺視野、中心視野領域で行った。脳標本を作製しMT領域への注入を確認したのち結果解析を行った。外側膝状体とMT領域が単シナプス結合よりも二次シナプスによる結合を多数持っているという知見が得られた。この傾向は周辺視野及び中心視野ともに同様であった。その後腹側視覚経路に含まれ、同じ階層とされるV4領域にも狂犬病ウイルスを注入する実験を2頭のマカクサルを用いて行った。脳標本を作製しV4領域への注入を確認した上で、外側膝状体での定性解析を行った。興味深いことにV4領域と外側膝状体との間には単シナプス結合、二次シナプス結合が殆ど存在しないという知見が得られた。更に1頭のマカクサルを用いてV4領域と外側膝状体との3次結合を調べた。定性解析の結果V4領域と外側膝状体とは3次シナプス件結合をしていることが分かった。このMT領域、V4領域と外側膝状体との結合に介在するシナプス数の差が存在することは新しい知見であり、今後更にもう一頭のマカクサルを用いてV4領域と外側膝状体との3次結合が間違いないことを確認した上で定量解析を行い、背側視覚経路と腹側視覚経路のネットワークを検討し、論文としてまとめることを来年度の目標とする。
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