2009 Fiscal Year Annual Research Report
狂犬病ウイルスを用いた大脳視覚野背側腹側経路の機能連関の解剖学的解明に関する研究
Project/Area Number |
20019011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
澤村 裕正 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 助教 (70444081)
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Keywords | 狂犬病ウイルス / 大脳視覚野 / 霊長類 / 大脳皮質機能連関 |
Research Abstract |
従来、物体の位置や動きの情報は背側視覚経路へ、物体の形や色の情報は腹側視覚経路へ送られるという説が提唱されてきた。しかしながら複数の領域にまたがるこれら2つの経路の機能連関については、未だ明らかになっていない点が多い。本研究では、サルを実験動物として用いて単シナプス性及び多シナプス性のニューロン連絡を神経解剖学的に解析することにより、従来提唱されてきた背側・腹側経路の視覚情報処理ネットワークのメカニズムを、外側膝状体からV1、V2を経由してMTまたはV4へ至る経路を中心に解明することである。 背側経路の一部を構成するMTと腹側経路を構成するV4を電気生理学的に同定した後、蛍光色素及び逆行性トレーサーである狂犬病ウイルスを注入した。狂犬病ウイルスを注入し、生存期間を変化させることにより、2次ニューロン結合、3次ニューロン結合を解析した。MTに狂犬病ウイルスを注入した場合ではV1の4Cα層と2次ニューロン結合が認められた。一方、V4に注入した場合にはV1の4C層とは2次ニューロン結合が認められず、3次ニューロン結合がV1の4Cα、4Cβ双方の層に認められた。さらに外側膝状体との結合を調べた所、MTとは二次ニューロン結合が認められ、V4とは三次ニューロン結合が認められた。MT、V4いずれに注入された場合も外側膝状体で標識された細胞は(M)層、(P)層双方に認められた。V4とV2とのニューロン結合を検討した所、背側経路に位置すると考えられるV2のthick stripeとも二次ニューロン結合が認められた。 本研究により外側膝状体、V1からMTへの多シナプス性経路が再確認された。さらに外側膝状体、V1、V2からV4野への複数の多シナプス性投射経路が明らかになり、背側経路・腹側経路の解剖学的構築が新たな知見として得られた。
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