2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20019022
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久場 博司 Kyoto University, 医学研究科, 講師 (10362469)
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Keywords | 神経科学 / 生理学 / 聴覚 / 活動電位 / チャネル / シナプス / 周波数 |
Research Abstract |
トリ層状核(NL)神経細胞はシナプス入力の同時検出器として働き,両耳に到達する音の時間差(両耳間時間差:ITD)を検出することにより音源定位に関わる.NLには音の周波数に対応した機能局在があり,ITDは特徴周波数(CF)毎のNL細胞により検出される.本研究では,ヒヨコを用いてNLの機能解析をCF領域毎に行うことにより,音源定位の神経回路機構を明らかにすることを目的としている.これまで申請者は,NLにおいてKチャネルとHCNチャネルの発現量,Naチャネルの軸索分布,さらには抑制性シナプス入力がCF領域に応じて異なり,このことがNLの各CF領域での正確なITD検出の実現に重要であることを明らかにしてきた. 本年度はさらにNLにおけるCaチャネル分布について調べ,NLの低いCF領域の細胞では高いCF領域の細胞に比べて低閾値活性型のCa電流が約3倍大きく,このことにより脱分極通電開始時と過分極通電後に脱分極性のhumpが生じることを明らかにした.次に,二光子レーザー顕微鏡を用いてNL細胞の各コンパートメントにおける活動電位発生中の[Ca^<2+>]_i変化を測定することにより,この低閾値活性型のCaチャネルは樹状突起に多く存在することを明らかにした.そこで,さらに数理的な解析を行った結果,この樹状突起に存在ずる低閾値活性型のCaチャネルは低い周波数(200-500Hz)のシナプス入力を増強することによりITD検出精度を向上する効果をもつことを明らかにした.以上のことから,NLでは樹状突起における低閾値活性型Caチャネルの発現量がCF領域に応じて異なり,このことが正確なITD検出に重要であることが分かった.
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Research Products
(5 results)